奄美の遺産価値維持を要望へ 県開促協、振興交付金拡充も
2021年06月19日
政治・行政
鹿児島県内の政財界や福祉、教育関連の団体などで組織する県開発促進協議会(会長・田之上耕三県議会議長)は18日、鹿児島市で2021年度総会を開いた。政府の22年度予算編成に向け、新型コロナウイルス対策関連など重点提案28項目を含む78項目(新規3項目)の要望を決定。奄美関係では今夏の実現を目指す奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録に関連し、遺産価値の維持などに向けた取り組みを求めるとともに、奄美群島振興開発の推進として奄振計画に基づく事業の確実な実施へ十分な予算確保を要望する。
世界自然遺産登録と奄美群島振興開発の推進に関する要望はいずれも重点項目に掲げた。
遺産登録関連は、今夏の確実な登録へ取り組みを求めるとともに、国際自然保護連合(IUCN)による5月10日の「登録勧告」も踏まえて、遺産価値の維持の必要性も強調。具体的には、希少野生生物の保護対策や外来種対策などへの取り組み、国立公園の適正利用推進を含む管理充実など。アマミノクロウサギなどの希少種・固有種を捕食する野生化した猫(ノネコ)の計画的な捕獲継続も求める。
世界遺産センターなどの施設整備に関しては、既設の施設設置状況も勘案し、世界遺産の拠点にふさわしい施設を奄美大島、徳之島にそれぞれ設置することを要望。県や地元自治体が進める奄美トレイルや利用施設の整備に対する財政支援要望なども掲げる。
奄振推進では、地元裁量に基づき施策の展開を後押ししている奄振交付金について、地元の実情に沿った制度のさらなる拡充や事業実施に配慮し、十分な財政措置を要望。沖縄振興事業に比べて低く設定されている奄振事業の補助率のかさ上げも求める。
全体的な要望のうち、新型コロナウイルス対策については▽地域の実情に応じた緊急包括支援交付金などの確保と弾力的な運用▽医療提供に必要な医療物資の供給▽経済活動の回復に向けた支援と雇用対策の充実・強化▽国による観光需要喚起策-などを盛り込んだ。