捕獲エリア、島内全域に拡大 発生源対策、適正飼養徹底意見も 環境省ノネコ捕獲検討会 奄美大島
2025年02月27日
政治・行政

ノネコの捕獲状況などが報告された検討会=26日、奄美市名瀬
環境省が奄美大島で進める野生化した猫(ノネコ)の捕獲に関する検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授、委員5人)が26日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。2024年12月現在、わなによるノネコ捕獲数は前年度同時期を32匹上回る127匹。25年度は捕獲作業エリアを島内全域に拡大し、捕獲や個体数測定などを行う。野良猫対策に関するモニタリング調査の報告もあり、発生源対策の強化や猫の適正飼養の意識醸成の必要性も示された。
ノネコの捕獲は生態系の保全を目的に、環境省と県、奄美大島5市町村が策定したノネコ管理計画に基づいて18年7月に開始。検討会は島外からのオンライン参加も含め、学識経験者で構成する委員と関係者ら約80人が出席した。
環境省の報告によると、24年度は龍郷町の秋名と龍郷、奄美市名瀬崎原の計3地区を重点捕獲地域に加え、島内17地域588・8平方キロで捕獲作業を実施。18年7月の捕獲作業開始から24年12月末までの総捕獲数は714匹となった。
重点地域の奄美市名瀬、名瀬崎原、龍郷町の秋名、龍郷は3月末までの捕獲結果などを基に、低密度維持地域への移行を判断する。
25年度は瀬戸内町の西古見と龍郷町の赤尾木を重点捕獲地域に設定。奄美市笠利町の節田、赤木名も捕獲作業地域に加え、自動撮影カメラを設置してノネコや希少種の生息状況をモニタリング調査する。
人の居住域とノネコが生息する森林域に接し、これまで野良猫対策の空白地だった農地でのモニタリングについて、5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会が島内64集落で実施した結果を報告した。
それによると、農地内部や農地と居住地に接するエリアなどに設置した自動撮影カメラでは、野良猫290匹、外飼い猫64匹の計354匹が撮影された。このうち野良猫51匹、外飼い猫6匹はノネコ対策のカメラでも撮影され、19匹が森林域でノネコ用のわなで捕獲された。
また農地内部で撮影された野良猫は、不妊・去勢手術の処置率が68・1%と低く、「農地内で繁殖した猫がノネコの発生源の一つとなっている可能性が示唆される」として、室内飼養など適正飼養を徹底する必要性が示された。
委員からは「森林域でのノネコ捕獲と(居住地や農地での)発生源対策の連携が必要だ」「全島的に連携して適正飼養の意識を高める方向性を示すべき」などの意見があった。