新ビジョンを策定 10年後の将来像示す 奄美群島市町村長会
2023年02月22日
政治・行政
奄美群島新ビジョン懇話会(座長・原口泉志學館大学教授、委員17人)は21日、奄美の10年後を見据えた「奄美群島成長戦略ビジョン2033」を群島市町村長会(会長・高岡秀規徳之島町長)に提言した。市町村長会は原案通り承認して新ビジョンを策定。2023年度に基本計画、実施計画を策定して24年度から運用を開始し、自然と文化を守り受け継ぐとともに、仕事の創出に重点を置いた産業振興を目指す。
懇話会は同日、奄美市名瀬の市民交流センターであった群島市町村長会の会合で新ビジョン案を提言した。原口座長は「群島12市町村の熱い思いが込められている。24年度からの運用だが、きょうからがスタート。市町村の熱意、ミッション、力量が問われている。それに期待したい」と述べた。
高岡会長は「提言を基礎に、10年後の奄美群島の姿を描かなければいけない責務を感じている。12市町村の個性を生かすためにも、市町村が一致団結した幅広い分野での取り組みを期待したい」と出席した首長らへ呼び掛けた。
基本理念の基軸となる新たな三つの柱は▽つなぐ宝(自然環境、文化、教育)▽稼ぐ力(農林水産業、ものづくり、観光・交流、情報通信業)▽支える基盤(ひと、エネルギー、デジタル)で構成。これらを有機的に連携させ「世界共通の宝を保全・継承し、恩恵の一部を享受して産業振興を図ることで、次世代へと自然・文化が受け継がれていくサイクルを生み出すことが重要」と指摘している。
将来像は現行ビジョンの「若者がチャレンジし、夢を実現する島」「全ての『島ちゅ』が主人公として活躍する島」の2項目を継承。世界自然遺産登録されたことを踏まえ、「宝を守り、受け継ぎ、世界の人々と共有する島」を提唱した。
将来像実現の基本方針、基本方策は群島全体、島ごとに定めた。ビジョン達成度の評価指標は群島全体に共通する「全体指標」、各島の独自性や多様性を表す「独自指標」、経済循環率や幸福度など定性的な指標や把握すべき数値を示す「参考指標」を設定した。
新ビジョンは国、県へ提出する。県が今年度末に作成する総合調査報告書に盛り込まれ、23年度末に期限切れを迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長や各種交付金制度の理論付けにもなる。