県防災の教訓を共有 陸自駐屯地で合同勉強会 市や消防など7機関で

2024年06月28日

政治・行政

7機関51人が参加し、防災危機管理に関し情報共有を図った合同勉強会=27日、奄美市名瀬の奄美駐屯地

奄美市名瀬の陸上自衛隊奄美駐屯地で27日、同市や県、消防、警察、自衛隊など防災危機管理に携わる7機関合同の勉強会があった。安田壮平奄美市長や長谷川健奄美駐屯地司令ら各機関のトップから危機管理担当者まで、計51人が参加。5月26日に同市内で行われた鹿児島県総合防災訓練で得られた教訓を共有し、大規模災害発生時の連携要領や今後の訓練に向けた課題を確認した。

 

勉強会は、2022年に陸自側が相互理解の促進と連携強化を目的に奄美警察署、奄美海上保安部に呼び掛けて以降、毎年開催。23年には同市と大島地区消防本部が、今年は名瀬測候所と県大島支庁が加わり、計7機関で実施した。今回は県防災訓練の振り返りを兼ね、報道公開も初めて行った。

 

会では、7機関がおのおの運用する情報システムの機能や災害発生時の連絡体制を説明。同測候所は「人身の安全や混乱防止には科学的根拠に基づく情報発信が重要。どのような情報が各機関から求められているのか、こういった場で学び、相互に顔の見える関係で安全を守りたい」とした。

 

海保は県防災の経験を踏まえ「港湾や空港が使えない想定での訓練が必要。また各機関の航空機が混在する空域には管制による調整も重要だ」とし、消防や警察も「初動では島外の応援部隊の来島は困難。災害対応経験が豊富で他にない資機材を保有する自衛隊との連携は欠かせない」などとして、各機関、自治体間のつながりの必要性を強調した。陸自側は指揮所レイアウト案を提示し「災害発生時にすぐに対応できるよう、図上訓練で行っておくべきことも多い」とした。

 

県防災訓練では、倒壊家屋からの人命救助や道路寸断を想定した物資輸送など、自衛隊が各所で中心的な役割を担った。奄美駐屯地には重症患者を島外へ搬送するための医療拠点「SCU(ステージング・ケア・ユニット)」が設置され、県DMATなど医療関係者や消防と同駐屯地の医官らが運用シミュレーションを行った。奄美市も大規模災害発生時の一時避難場所としての駐屯地使用について、同駐屯地と協定締結の方針を示している。