輸送コスト支援など提言へ/群島成長戦略推進懇

2018年01月12日

政治・行政

奄美群島成長戦略ビジョンの改定に向け新たな提言書をまとめることを確認した懇話会=11日、奄美市名瀬

奄美群島成長戦略ビジョンの改定に向け新たな提言書をまとめることを確認した懇話会=11日、奄美市名瀬

 奄美群島成長戦略推進懇話会(座長・原口泉志學館大学教授、委員16人)の第8回会合が11日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。島別分科会の取り組みやこの日の意見を踏まえ、「加工品の群島外出荷時の割高な輸送コスト相当分に対する支援の創設」や「大学など高等教育機関の具体的な検討」などを懇話会の提言案とすることを了承した。2月27日にある群島市町村長会で、向こう5年間の「奄美群島成長戦略ビジョン」の改定案として提言する。

 

 奄美群島成長戦略ビジョンは、奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長や地元裁量で運用可能な交付金制度の理論付けとなるもの。奄美の10年後を見据えて島ごとの成長戦略方針や基本方策などを盛り込み、2013年2月に策定した。懇話会はビジョン策定主体の奄美12市町村への提言機関。各島での分科会と並行して論点を整理しながら提言作業を進めてきた。

 

 ビジョンは、群島や各島を取り巻く情勢の変化と現行奄振法の期限切れを踏まえて18年度に改定する。これまでの会合では島別、群島全体に分け、農業、観光、情報、文化、定住の5分野で活動する関係者がビジョン策定後の5年間を振り返りながら、分野別の課題などを抽出した。

 

 課題を踏まえた主な改定案には、加工品の輸送コスト支援のほか、▽民間主導・行政参加の産業振興モデルへの転換▽奄美群島の重点3分野(農業、観光・交流、情報)に対する積極的な金融支援▽民泊推進特区創設▽奄美群島振興開発基金の存続と融資条件の優遇など制度拡充▽奄美群島振興交付金制度の拡充―を挙げた。

 

 今回の会合では委員から、高等教育機関の具体的な検討に加え、▽水産物振興の拡充▽医師確保に向けた取り組み―も必要とした。

 

 ビジョンは18年度末で期限切れとなる奄振法延長に向けて奄振総合調査や奄美群島振興開発計画を策定する県や国に対しても、地元側の意見として提出する。