高倉群、復元へ 18年の台風で全半壊 奄美文化センター
2021年02月22日
政治・行政
奄美市教育委員会は2020年度、18年9月の台風で全半壊した奄美文化センターの高倉群の復元(修復・改築)を始めた。1棟は3月末にも完成予定。市教委文化財課は「屋根の骨組みは原型とは異なるが、その他は同じ。台風など災害に備え強化した。安全確保に力を入れたい」と話している。
台風で倒壊した高倉は①1986年、奄美市名瀬芦花部から寄贈(6本柱)②87年、奄美市笠利町佐仁から寄贈(4本柱)③90年、大和村国直から寄贈(9本柱)④同年、龍郷町秋名から寄贈(4本柱)⑤同年、大和村国直から寄贈(同)│の5棟でいずれも、かやぶき。18年9月29日夜から30日未明にかけて倒壊した。
倒壊した高倉は復元を念頭に入れ、1棟ずつ部材ごとに解体。19年度から復元を目指して協議開始。足場(柱)は保管した部材を使用することができるが、屋根は新調しなければならないことが分かった。
今年度、ふるさと納税活用事業を導入して500万円を計上し、文化センター一万人ひろば海側(東側)にあった1棟(9本柱)の復元に着手した。文化センターには防風林がなく、高倉は日陰をつくり来場者の憩いの場になっていることを考慮し、市側は屋根の部分に杉材やボルトを使い、強度を高めることにした。
既存の高倉は移設後、数回にわたって倒壊、屋根の破損が相次いでおり、今後も倒壊・破損が続くことが予想される。市文化財課の久伸博課長は「今後も台風が続くことが予想される。(文化財として)望ましいことではないが、維持管理や利用者の安全面を考えると、基本的な構造を維持しつつ、強度のあるものにしたい」と話した。残り4棟についても年次的に復元する予定。