3年半ぶり防災訓練 昨年の津波警報教訓に高台避難 市民ら1700人参加 奄美市
2023年01月23日
政治・行政
2019年8月以来、約3年半ぶりとなる奄美市防災訓練が22日、市内全域で行われた。奄美群島(北部)太平洋沖での地震発生に伴う津波警報発令を想定。参加した市民約1700人が高台の一次避難所を目指して避難したほか、市や消防、警察などの関係機関がそれぞれの役割と連携体制を再確認した。
午前9時に地震発生。奄美市内の太平洋側には同9時10分、東シナ海側は同26分に津波の第1波が到達。さらに太平洋側では同39分に最大8・3㍍の津波が来るとの想定で訓練が行われた。
市は地震発生後、すぐに避難勧告を発令。安田壮平市長を本部長とする災害対策本部を設置し、午前10時と同11時の2回、関係機関と合同の災害対策本部を開き、避難者の状況や職員安否、公共施設被害などの情報共有を図った。
奄美署は、名瀬のあかざき公園と大浜、ループ橋の各登り口付近の交差点で署員が交通整理を実施。奄美海保は巡視船を出し、沿岸部の住民らに津波警報の発令を知らせた。
市危機管理室によると、高台への住民避難は徒歩を推奨しているが、徒歩での避難が困難な高齢者らを素早く避難させるには車が有効。また昨年1月の奄美群島などへの津波警報発令時は、車での避難が少なくなかったことを踏まえ、今回の訓練でも、一部の参加者は車で避難した。
参加住民は危険箇所の確認など避難ルートの把握と、避難にかかった時間を計測し、訓練後の検討会で、課題などを出し合った。
3カ所の避難所に計211人が避難した有屋町内会の田丸友三郎会長(70)は「避難所のトイレの問題など、さまざまな課題を確認し、住民の皆さんがそれを共有できたのは良かったと思う」と語った。
安田市長は「昨年(の津波警報時)の教訓を忘れず、もう一度思い出し、足りなかったこと、気を付けることを確かめるための訓練。今後の安全でスムーズな避難につながる有意義な訓練になった」と総括した。