9月推薦書暫定版提出へ調整 世界自然遺産地域連絡会議奄美大島部会
2018年08月31日
政治・行政
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産候補地地域連絡会議の奄美大島部会の会合が30日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。今年の世界自然遺産登録が見送られた奄美・沖縄について、環境省は最短となる2020年夏の再挑戦を目指し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ9月末までに推薦書の暫定版を提出する方向で調整を進めていると説明した。
奄美・沖縄の世界自然遺産登録については、今年の世界遺産委員会で登録の可否が決まる最終審査を予定していたが、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)は5月、推薦区域の見直しを求めて「登録延期」を勧告。政府はユネスコへの推薦を取り下げた。
地域連絡会議は行政や地元団体など関係機関の連絡・調整や合意形成を図る目的で設置され、地域別の部会を設けて遺産候補地の適正な管理の在り方を検討している。6月の推薦取り下げ後に開いた同会議の会合では、国、鹿児島、沖縄両県の担当者と遺産候補地4地域の12市町村長らが20年夏の登録を目指す方針に合意した。
20年の登録実現には、今年9月末までに暫定版を提出した上で、来年2月1日までに正式な推薦書を再提出する必要がある。ユネスコへの推薦を巡っては、今後は1国1件に制限されるため、同じ20年の登録を目指す世界文化遺産候補の「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)と競合する見込み。政府は今後、両候補のうちどちらを推薦するか判断する。
会合で今後のスケジュールについて説明した環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は「文化遺産との調整が必要になるが、政府の方針は決まっていない段階」とした上で、「(奄美・沖縄が)最短のスケジュールでいけるよう調整を図っていきたい」と述べた。
会合は奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会の奄美大島自然利用部会を兼ねて開催。関係者ら約40人が出席した。31日は天城町で徳之島部会がある。