「これほどの暴風初めて」 奄美出身者 台風21号の脅威語る

2018年09月06日

地域

腰まで水に漬かりながら避難する住民=4日午後、神戸市(提供写真)

腰まで水に漬かりながら避難する住民=4日午後、神戸市(提供写真)

 4日、関西と四国を縦断した台風21号。大阪や兵庫など奄美出身者たちが多く住むエリアで猛威を振るい、甚大な被害をもたらした。南海日日新聞の取材に、出身者たちは「これほどの暴風は初めて」「島の台風を思い出した」とその脅威を語った。

 

 大阪府吹田市在住の中野壽郎さん(67)=関西奄美会幹事長、伊仙町出身=は「職場のある奈良にいたが、すごい風に驚いた。島を離れて40年以上になるが、関西でこんな風が吹くとは…。子どもの頃に島で経験した台風を思い出した。奄美会の会合が8日にあるので、会員の方々の被害状況などを確認して対応を考えたい」。

 

 神戸市在住の先山和子さん=知名町出身=は「神戸の人工島『六甲アイランド』に住む次女から道路が冠水しコンテナが流されている写真。長女からは神戸のショッピングセンターで車が水没し、川のようになった道路を歩く人々の写真がそれぞれ送られてきた。私の自宅近くのJRは5日も運行停止。JRから阪神電車に乗り換える人で大混雑している」。

 

 尼崎市在住の阿世知敏治さん(50)=奄美市出身=は「島で台風には慣れていたが、これほどの暴風は初めて。停電で仕事も早く切り上げたが、電車が止まっていて徒歩で帰宅した。途中、橋の上でトラックが横転していた。自宅も停電で水も出ない」。

 

 和泉市在住の窪田恵美子さん(62)=龍郷町=は「大阪に来て27年になるが、初めて怖いと思った。今年は台風の接近が多い。これ以上島にもこちらにも来ないでほしい」。

 

 西宮市在住の笠井幸代さん(49)=喜界町出身=は「停電や断水があり、一晩ろうそくで過ごした。こんなに大きな台風は高校生の時に喜界で経験して以来で震えが止まらなかった。5日午後1時半くらいに水道と電気が復旧。やれやれという気持ち」。

 

 大阪市在住で管理栄養士の前島美千枝さん(67)=関西安陵会会長、奄美市出身=は「病院周辺は停電。病院も自家発電で十分な対応ができず、食事提供は非常食となった。5日午後3時現在、安陵会の会員がけがや家屋被害に遭ったとは聞いていないが心配。連絡網で確認したい」とそれぞれ話した。