「世界の宝」保全継承へ連携 奄美大島、5市町村長が会見
2021年05月12日
地域
世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」への登録勧告を受けて奄美大島5市町村長が11日、奄美市役所で記者会見を開いた。2018年の延期勧告から3年越しの朗報に、首長らは「コロナ禍で沈みがちの中、大変うれしい」「地域社会の追い風に」と喜びを語る一方、「奄美の財産を守る責任を感じた」とも。今夏の正式決定に向けては「関係機関と連携を深めて登録を勝ち取りたい」と力強く語り、気持ちを新たにした。
奄美、沖縄の4島をめぐっては環境省が10日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が自然遺産に登録するよう勧告したと発表した。
「世界の宝として評価された。関係団体、住民の十数年にわたる思いを考えたとき、本当に良かったと感じる」。会見で「率直な感想を」と問われた朝山毅奄美市長は感慨深げな表情で語った。「感謝と同時に責任も感じた。先人が残した遺産を末永く保護保全、継承することがわれわれに課せられた使命だ」と述べた。
登録勧告について伊集院幼大和村長は、3年前の延期勧告で出された「宿題」を踏まえ「保護活動や外来種駆除など、取り組めるところから進めてきた」と成果を強調した。群島への波及効果としては自然散策ルート・奄美トレイルを挙げ、「12市町村で連携を図りながら取り組みを強化したい」と話した。
登録可否を審査する7月の世界遺産委員会はオンラインで行われる。朝山市長は市役所でパブリックビューイングを開催すると明らかにした。
新型コロナウイルスの収束が見通せない中で吉報を待つことになるが、竹田泰典龍郷町長は「登録が実現すると、日本で最後とも言われる自然遺産として国内外の注目を集める。コロナ禍の明るい話題だ。地域社会にこれまでにない追い風になる」と期待。鎌田愛人瀬戸内町長も「自然環境がかけがえのないもので、次の世代に継承すべきものだと島民が再認識する契機になる」と力を込めた。
今後の取り組みに関しては、元山公知宇検村長が従来の施策を継続するとした上で「自然保護ガイドブックの改定、登録記念イベントを開催して島民の機運醸成に努める」と説明した。
徳之島3町長は12日に共同会見を開く予定。