「名残惜しい」と利用者ら タラソ、きょうから無期限休館 奄美市名瀬

2023年06月01日

地域

利用者らが乗ったマイクロバスを見送るタラソのスタッフら=31日、奄美市名瀬

「名残惜しい」「さみしいな」。奄美市の健康体験交流施設「タラソ奄美の竜宮」は指定管理者の撤退に伴い6月1日から無期限の休館となる。営業最終日の31日には、長年施設に通っていた利用者から施設スタッフへの感謝や休館を惜しむ声が多く聞かれた。

 

同施設は奄美市が奄美群島振興開発事業の非公共事業を活用し、総事業費10億5千万円で整備し2006年に開館。海水を利用した温水プールやサウナ、トレーニングルームなどを備え、市民の健康増進や憩いの場として親しまれてきた。

 

開館当初からウェルネスデベロップメント(東京都、野田史代表取締役)が指定管理を続けてきたが、施設は慢性的な赤字経営に加え、新型コロナウイルスの影響で利用者が激減。コロナ禍以前の経営状態への早期回復は困難と判断し、撤退を決めた。同社によると、開館時からの延べ利用者数は約110万人。市は直営での運営などはいったん見送り、今後の施設の在り方を検討していく。

 

最終日は普段よりも多くの人が施設を利用。帰り際に「長い間ありがとう」「また会おうね」などと、スタッフと言葉を交わしていた。

 

開館当初から通っていたという名瀬の勇康子さん(75)は「悲しくて心が張り裂けそう。『あすからどうしようか』とみんな言っている。(市には)再開をお願いしたい」と話した。

別の女性(70代)も「こんな日が来るとは思わなかった。本当にさみしい」と休館を惜しんだ。

 

施設スタッフも目に涙を浮かべつつ、笑顔で利用者を見送っていた。

野田社長は「長年利用していただき感謝。これからもお元気で過ごしてもらいたい。市民の健康維持のために重要な施設で、私たちもまた再開してくれることを望んでいる」と語った。