「奄美の対応を標準に」 自殺問題シンポ、80人が聴講
2019年05月05日
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【鹿児島総局】児童生徒の自殺を巡る問題と学校、行政の在り方などを考えるシンポジウムが4日、鹿児島市のかごしま県民交流センターであった。パネルディスカッションを行い、2015年に奄美市で男子中学生が自殺した問題で、第三者調査委員会の対応を検証。出席者から、遺族の要望に添って報告書で原因を明らかにしたことなどを評価し、「奄美の事例を第三者委対応の標準にする取り組みが必要」などとの声が出た。
自殺者の遺族の支援活動などを展開している一般社団法人「カナリアハート」の主催。約80人が聴講した。
パネルディスカッションに先立ち、奄美市や県内での児童生徒の自殺に関して遺族や関係者が報告。出水市で11年に女子中学生が自殺した問題では、学校が行った校内アンケートの開示要求に応じなかった市教委の対応などが示され、多くの事例で遺族が求めている情報が十分に伝えられていない現状が浮き彫りとなった。
奄美市の事例については、遺族の代理人弁護士が「第三者委の設置規約や委員の推薦など、遺族がある程度関与できた」と説明。調査の中立や公平を求める遺族の要望が反映されたと述べた。
パネルディスカッションでは、奄美市の第三者委による調査内容や遺族との向き合い方を評価する声とともに、登壇者からは「本来、こうした問題については、学校が子どもたちにしっかり向き合うことが必要。委員会に問題を丸投げして逃げ道にするべきではない」との指摘もあった。
第三者委の委員長を務めた内沢達氏は「教員の『生徒を従わせる指導が教育』という思い込みが事案の根底にある」と分析。「生徒の主体性や多様性を認めることを含め、発想の転換が求められているのではないか」と述べた。