「遺骨持ち去り」考える 関連番組上映会とシンポジウム 京大の遺骨返還求める会
2023年09月18日
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旧京都帝国大学(京都大学)の人類学者が昭和初期に奄美群島から多数の遺骨を持ち去った問題を考えようと、17日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で、関西のテレビ局が制作したドキュメンタリー番組の上映会とシンポジウムが開かれた。番組を制作したメディア関係者や大学関係者らが集まり、聴講に訪れた一般市民と議論を深めた。
奄美の市民団体「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」の主催。上映されたのは近畿圏のテレビ局MBS毎日放送が昨年11月に放送した「奄美人遺骨を追って~昭和初期・人類学の“戦利品”」。
番組では京都帝大の人類学者三宅宗悦が昭和初期、日本人のルーツを研究する目的で、奄美大島、喜界島、徳之島の風葬墓から、267体の遺骨を大学へ持ち去った歴史を検証。同連絡協議会発起人の奄美市の原井一郎さんらの現地案内の下、3島で遺骨返還の必要性を訴える住民の声を拾い、北海道や沖縄県でも行われた遺骨返還訴訟をまとめている。
制作した津村健夫ディレクターは「帝国主義時代の日本の傲慢(ごうまん)さ、研究目的で勝手に遺骨を持ち出す傲慢さ、日本本土の無関心の傲慢さが表れている」と批判。返還へ向け世論の喚起が必要だと訴えた。
会場からは「アイヌの人々の事例などは知っていたが他人事だと思っていた。奄美もそうだったと知り驚いた。自分のことのように腹立たしい」「もう一度地域でこの問題をどう思うか語り合うことが必要」「返還訴訟には身元の特定などが争点になるのか」などの疑問や感想が寄せられた。
原井さんは「奄美の昔の墓は共同納骨形式になっていて遺骨の身元特定は難しい。訴訟で裁判官に遺骨が誰のものかなど決めてほしくはない。民衆の声で解決するべきだ」と話した。