いとこと半世紀ぶりの再会 ルーツ探しのローチャーさん(米国) 奄美市名瀬

2023年05月30日

地域

半世紀ぶりの再会を記念したおそろいのコイン(提供写真)

母親が奄美大島出身で、自身のルーツを知ろうと奄美市役所や本紙報道(21日付)などを通じて関連情報を募っていた米国人のドナ・ローチャーさん=米ノースカロライナ州=が23日に来島した。新聞を読んで同市役所に連絡したローチャーさんのいとこ、武田エレナさん(56)=奄美市名瀬=らと対面。武田さんは「最後に会ったのは私が3歳くらいの時。思いがけない機会でまたつながることができた」と約半世紀ぶりの再会を喜んだ。

 

武田さんの母、故美津子・ウィーラーさんと、ローチャーさんの母、故オスエ・ステルツァーさん(いずれも旧姓重)は姉妹。奄美市名瀬(旧名瀬市)で生まれ育ち、1950年代後半ごろに沖縄に渡ってそれぞれ米兵と結婚した。

 

幼少期を米カリフォルニア州で過ごした武田さんは、父を亡くし4歳の時に美津子さんと帰国。同市名瀬で育った。5歳年上のローチャーさんとは米国で暮らしていた時に何度か会ったことがあり、帰国後も手紙のやり取りを続けていたが、転居などで住所が分からなくなり連絡が途絶えていたという。

 

50年以上の時を経て再会を果たした武田さんとローチャーさん。墓参りをしたり、ゆかりの場所を巡ったりと共に時間を過ごし絆を深めた。武田さんは「昔の写真を見ながら家族の思い出を語ることができた。ドナも感動して言葉に詰まる場面があった」と振り返った。夫の哲雄さん(55)はローチャーさんとは初対面。「たくさん話をしても時間が足りないと思うくらいだった。行政などにも協力をいただき感謝している」と話した。

 

5日間滞在したローチャーさんは帰り際、再会の記念に天使が描かれたおそろいのコインの1枚を武田さんに手渡した。武田さんは「次に会う時まで大事に持っておきたい。チャンスをつくって今度は私が会いにいかないと」と笑顔を見せた。