イッサンボーかざし豊作祈願 伊仙町2集落で「イッサンサン」
2019年08月29日
地域
【徳之島総局】伊仙町の犬田布や木之香集落で27日夜、豊作を祈願する伝統行事「イッサンサン」があった。住民らが、かかしの形をした福の神「イッサンボー」を中心に家々を回り、来年の豊作を祈った。
イッサンサンは徳之島が琉球王朝支配下にあった約400年前、飢饉(ききん)に苦しむ犬田布地区の住民が豊作祈願したことが由来。豊作となった翌年は琉球王朝服属から133年目に当たることから、行事がイッサンサンと呼ばれるようになったという。
東犬田布集落(佐藤隆志区長、208世帯)では、集落内の発祥の碑前で豊作祈願の歌とイッサンボーの踊りを奉納。三つの小組合ごとに老若男女が約140件の家を回った。
民家の庭先で、住民らが「イッサンサンヌ、サン(申)ヌトセ(年)ガ、カホウドセ(果報年)」「ムチタボレ、タボレ」と歌い、イッサンボーが左右に飛び跳ねるユーモラスな踊りを披露。家主は餅やお菓子などを用意してもてなした。
イッサンサンは約400年前の祈願が行われた旧暦8月15日の前の戌申(つちのえさる)の日に実施してきたが、参加主体となる子どもたちに配慮し、今年は丙申(ひのえさる)に当たる27日に実施した。
佐藤区長は「時代の流れとともに子どもたちも減ってきた。伝統行事だが、時代に合わせて参加しやすい日程で開催することで、継承につなげていければ」と話した。