イノシシ被害が拡大 餌不足要因か 奄美群島
2020年06月19日
地域
イノシシの農作物への被害が拡大している。2019年度の奄美群島全体の農作物被害額はまだまとまっていないものの、前年度から倍以上に増える見通しだ。県大島支庁農政普及課は「シイの実など山の餌が不足しているのが要因とみられる。引き続き侵入防止柵の設置を進めるほか、その適正管理などを農家に呼び掛けていきたい」としている。
県によると、群島のサトウキビや果樹など農作物への被害額は、2012年度には1億303万円に上ったが、防止柵の設置を進めた効果もあり、13年度3729万円、14年度2448万円と減少し、18年度には2049万円にまで抑え込まれていた。しかし、19年度は人里への出没が多発し、農家などからの被害相談も増えた。
奄美市の19年度の被害額は既にまとまっており、前年度の約5倍の928万円に達した。果樹の被害が最も多い788万円を占め、防止柵を設置していない園地の被害が増加した。
市農林水産課は「最近は皮膚病に感染して弱った個体が人里で多く捕獲されている。抜本的な解決は難しいが、猟友会などと連携して農産物の保護を図っていきたい。狩猟者が減っているため狩猟免許の取得も促していきたい」と話した。
龍郷町の19年度のイノシシ捕獲頭数は193頭で、例年の4倍に増加。有害鳥獣の捕獲が認められている期間は4~10月だが、20年度も6月9日現在で既に68頭が捕獲されている。町農林水産課は「農作物被害に加え、集落内にも入り込んでいるという報告がある。猟友会に防護方法などを相談しながら対策を取っていきたい」と話した。
徳之島町の農作物被害は、18年度の411万円から19年度には9335万円と急増。町農林水産課は「センサー付き箱わなを各集落に1基ずつ設置する準備を進めているほか、狩猟免許取得希望者への助成を計画しており、官民一体となって捕獲することで被害抑制に努めたい」としている。