スズメバチ、調査・駆除進む 喜界町 昨年初確認「情報提供を」 わな設置、2カ月で40匹

2022年06月07日

地域

5月に喜界町阿伝集落で発見されたコガタスズメバチの巣(提供写真)

喜界町は2021年8月に喜界島内で初めてスズメバチの生息が確認されたことを受け、人的被害の抑制に向けた調査・駆除を進めている。島内20~30カ所にトラップ(わな)を仕掛け、4、5月の計2カ月間で約40匹を捕獲した。担当する町企画観光課は「スズメバチを見掛けたら、企画観光課まで情報提供を」と呼び掛けている。

 

島内に一定数生息しているとみられるのはコガタスズメバチ。日本各地に広く分布し、奄美大島や徳之島などにも生息する。働きバチの体長は2・2~2・9㌢ほど。住宅の軒下や生い茂った樹木の枝などに好んで営巣する。

 

喜界島では昨年8月10日、花良治集落で草刈り中の男性が刺される被害が発生。それまで同島ではスズメバチは確認されておらず、環境省は女王バチが貨物に紛れて持ち込まれたか、風に乗って飛来した可能性を指摘。町は被害防止への注意喚起と合わせて調査・駆除を決めた。花良治集落での被害以降、新たな被害は確認されていないが、島内の各地で巣が見つかっているという。

 

町担当者によると、トラップは島中央に位置する百之台近くの林道を中心に約50個設置し、糖蜜やサトウキビの搾り汁、誘引剤などを仕掛けておびき寄せ捕獲した。担当者2人体制で週1回トラップを確認し、捕獲したスズメバチを回収している。

 

捕獲した個体の約半数は営巣する女王バチ。駆除した巣の内部からは十数匹分の幼虫が見つかったという。また、5月下旬には阿伝集落の民家でこぶし大のスズメバチの巣を発見、駆除・撤去した。

 

コガタスズメバチの巣は夏ごろになると20~30㌢ほどまで大きくなり、一つの巣から約100匹の働きバチが生まれる。営巣規模は比較的小さく、威嚇・攻撃性もあまり高くないが、巣に直接刺激を与えると激しく反撃してくるため、剪定(せんてい)作業中に巣を刺激して被害に遭うケースが多いという。

人的被害の抑制に向けて、町は今後も調査・捕獲を続けるとともに、民家など私有地以外で見つかった巣は公費で駆除するとしている。