全島一斉防除を開始 喜界、23年度の根絶達成へ アリモドキゾウムシ
2018年08月03日
地域
国の助成を受け県が喜界島をモデルに実施しているアリモドキゾウムシ根絶事業は2018年度、これまでの島内を区分しての防除から島全体を対象とした一斉防除に入った。誘殺剤を一斉散布すると同時に、生息密度が低下している地域に不妊虫を放飼。町と住民の協力も得ながら寄主植物の除去も進めていく。23年度内の根絶達成を目指す。
アリモドキゾウムシはイモ類を食害する特殊病害虫で、奄美群島や沖縄県、トカラ列島などに生息する。サツマイモやノアサガオ、グンバイヒルガオなどに奇主し、食害を受けたイモ類からは異臭と苦味が発生する。植物防疫法で生息域からサツマイモなどの持ち出しが禁止されている。
根絶に向けては1988年、喜界島で技術確立事業がスタート。上嘉鉄地区での実証事業を経て、2001年から島西部で①放射線を照射した不妊虫の大量放飼②誘殺板散布③奇主植物の除去―を柱とする根絶事業を進めてきた。
農水省や県大島支庁農政普及課によると、先行して防除事業を進めてきた島西部では生息密度の低下が確認されているが、未防除区域からの侵入が懸念される状況にある。このため全島一斉防除に方針転換し、島全体の生息密度の低下を図り、根絶へとつなげていく。
具体的には、生息密度が低下している島西部の約1800ヘクタールでは一週間に約50万匹の不妊虫の放飼などを継続。残りの約4千ヘクタールでは誘殺剤による雄除去と奇主植物の除去作業を実施してまず生息密度の低下を図り、不妊虫放飼へと進む。誘殺剤は誘殺板方式から粒剤に変更する。
県は18年度から喜界事務所に防除専任の職員1人を配置。町と連携して誘殺剤の散布や生息状況調査などを実施していく。