危機言語サミット初開催 喜界町
2019年05月27日
地域
喜界島の方言継承へ向けた「喜界島危機言語サミット」が26日、喜界町の上嘉鉄地区振興センターであった。湾、中里、荒木、上嘉鉄の4集落の代表者が各集落での言語保存の実践例を報告し、「自分たちが楽しんで方言継承に取り組むことが継続した活動につながる」などと提言した。
喜界島言語文化保存会(生島常範代表)の主催。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅の危機にあるとした喜界方言を含む奄美語の継承を目的に初開催した。
町内外から約100人が来場。生島代表(58)は「喜界島の宝であるシマユミタ(方言)を後世に継承するため学び合う場になればうれしい」とあいさつした。
パネリストで中里区長の得田喜代治さん(62)は、子育て世代の多くが方言を理解しておらず家庭での方言教育が難しいと指摘。子どもたちの健康と各家の繁栄を願う集落行事フユウンミー(冬折目)で中学生に踊り唄を教える取り組みを紹介し「集落全体で行事を若い世代に引き継ぐことが、方言伝承につながる」と提言した。
サミットでは、同保存会が東京都八丈島で調査した危機言語・八丈語の保存継承活動に関する報告のほか、児童たちが方言を使った伝言ゲームを発表した。4集落の有志がそれぞれの方言で桃太郎を朗読し、集落紹介を島唄・いきゅんにゃ加那の替え歌で披露する催しもあった。
ユネスコは2009年、世界で2500(うち国内8)に上る言語が消滅の危機にあると発表した。国内8言語の危機の状況(3段階)は次の通り。
▽極めて深刻 アイヌ語▽重大な危機 八重山語、与那国語▽危険 奄美語(奄美大島・喜界島・徳之島)、国頭語(沖永良部島・与論島・沖縄本島北部)、八丈語、沖縄語、宮古語