台風接近、過去最多に 「西郷どん」に地域沸く
2018年12月30日
地域
◆気象
今年は台風の第1号が1月3日に発生。気象庁が統計を取り始めた1951年以降で3番目に早かった。8月には史上初めて5日連続で発生。年間の発生数は29個(12月29日午後5時現在)と平年(25・6個)を上回った。名瀬測候所によると、奄美地方の300㌔以内への接近数は平年(3・8個)を上回る9個と、2012年と並び過去最多を記録。台風ラッシュの年となった。
9月下旬に非常に強い勢力で奄美地方を縦断した大型の台風24号は、群島各地に大きな爪痕を残した。与論町と奄美市笠利町で最大瞬間風速50㍍超を観測。大規模な停電や通信障害、断水が発生した。群島全体で非住家を含む建物被害は4千棟超に達し、人手や資材の不足で修復が遅れ、影響が長期化した。
◆事件事故・火災
1月に奄美市笠利町笠利、7月に龍郷町嘉渡、12月に同町中勝で発生した火災では、住家など複数棟を全半焼。交通死亡事故は群島全体で9件発生し、昨年(3件)を大幅に上回った。
徳之島町では4月、妻に暴行を加え死なせたとして男が逮捕され、裁判で懲役6年6月が言い渡された。10月には龍郷町内での大麻栽培に絡み4人を逮捕。同月、喜界町で戦時中の不発弾とみられる爆発が発生した。
3年前に奄美市内であった男子中学生の自殺に絡み12月、市が設置した第三者委員会は「担任教諭の不適切な指導が原因」と結論付けた。
◆漂着油
パナマ船籍のタンカーが1月6日、上海沖の東シナ海で貨物船と衝突。炎上しながら漂流し、奄美大島の西約315㌔で沈没した。2月以降、奄美群島各地の浜辺で大量の漂着油が見つかり、関係機関は対応に追われた。回収・処分方法や安全性を巡って混乱があったものの、各浜辺では住民を主体として行政・関係機関による回収作業が展開された。
◆クルーズ船誘致
国の大型クルーズ船(22万㌧級)寄港地開発に関する調査結果を受け、瀬戸内町西古見への誘致計画が浮上。町内外から賛否両論の声が上がり、町は混乱した。10月、町民を主体とした検討協議会が設置された。
◆「西郷どん」
NHK大河ドラマ「西郷どん」放送には、ゆかりの地の奄美も沸いた。2~3月に沖永良部島、奄美大島であったロケには多くの島民も参加。各地でイベントや講演会が開かれ、奄美黒糖焼酎のコラボ商品なども登場した。西郷と愛加那の娘菊子(菊草)の写真が見つかるなど、西郷の妻や子、子孫らの研究も活発になった。
12月16日の最終回放送日には龍郷町でパブリックビューイングイベントがあり、約600人が詰め掛けた。
㈱九州経済研究所によると、県の「西郷どん」経済効果は258億円。19年以降も効果を継続させようと奄美大島で観光マップ作成やイベント開催などが予定されている。
◆復帰65周年
奄美群島の日本復帰関連では記念日の12月25日、奄美市名瀬で「日本復帰記念の日のつどい」や「おがみ山市民のつどい」などが開かれた。式典の出席者らは65周年の節目に、復帰運動に取り組んだ先人の功績を再確認した。
同市名瀬の県立奄美図書館では前日の24日に記念講演、11月には「全国奄美人大会シンポジウム」を開催。復帰運動伝承や奄美の未来像について、出身者や地元住民らが意見や提言を寄せた。
伊仙町立面縄小の創立記念式典では、復帰運動指導者で同小卒業生の泉芳朗を題材にした創作劇を披露。奄美市立奄美博物館では年明けの1月27日まで、復帰運動関連の所蔵史料が公開される。