名瀬港では実働訓練も 奄美市防災訓練
2018年10月29日
地域
地震発生に伴う大津波を想定した2018年度奄美市防災訓練が28日、市内全域であった。市や県、警察、消防など関係機関が連携し、情報伝達から災害対策本部の設置までの流れを確認。地域住民は避難や避難所開設、炊き出しの訓練を通して防災意識を高めた。名瀬港では警察、消防、海上保安部、自衛隊、県立大島病院などによる実働訓練もあった。
訓練は、11年3月の東日本大震災や10年、11年と奄美大島を襲った10、11年の豪雨災害を教訓に毎年実施している。本年度は奄美大島近海でのマグニチュード8・2の地震発生に伴う津波襲来を想定し、市内の自治会や自主防災組織などから約2千人が参加した。
訓練では全国瞬時警報システム(Jアラート)や広報車、緊急速報などで住民に避難指示され、災害対策本部を設置して災害、交通、気象情報などを収集した。
各地区では町内会や自主防災組織が中心となって高台への避難誘導、要援護者への避難支援などを展開した。
地域の事情から3年ぶりに防災訓練に参加した名瀬地区の小俣町内会(柏原禎賢会長、605世帯)では約130人の参加者が互いに声を掛け合いながら避難所に到着。参加者からは「防災無線の声が聞き取りにくい」「高齢者を安全に誘導するための対策が必要」などの声が聞かれた。柏原会長は「自分の身は自分で守るという意識を保つためにも訓練実施の意義は大きい」と話した。
実働訓練では奄美署の小型無人機(ドローン)による被害状況調査やドクターヘリでの負傷者緊急搬送、奄美海上保安部や大島地区消防組合による名瀬湾での船舶事故を想定した救助訓練などがあった。
航空自衛隊南西航空方面隊(沖縄県)の救難捜索機や救難ヘリも参加し、海上に浮かぶ要救助者の吊り上げ訓練なども実施。名瀬港には多くの市民が訪れ、本番さながらの訓練を見学した。