和泊町歴民館でトゥール墓企画展
2019年10月12日
地域
沖永良部島の古墓「トゥール墓」をテーマとした企画パネル展が今月、和泊町の歴史民俗資料館で始まった。トゥール墓は同町内城の世之主の墓などに代表される主に中世時代の古墓。同館の先田光演さんは「トゥール墓について知ることで、奄美の島々の洗骨文化の価値も見えてくる」と語る。
トゥール墓は自然洞穴の墓や、それを掘り込んで造られた古墓で、奄美各島に史跡として残っている。喜界島ではムヤ、与論島ではジシと呼ばれる。
先田さんによると、奄美の島々は古代から中世にかけて本土との交流が途絶して仏教文化や神社信仰が伝来せず、その間、島民は先祖の霊力を信じて祖霊を祭ってきた。先祖の魂は骨に宿るとされ、その遺骨を丁寧に洗い清め供養したという。
「本来は墓石を拝むのではなく、先祖の遺骨を見て拝むことが洗骨文化の基本。この遺骨を拝み見る場所がトゥール墓だった」と先田さん。「沖永良部島には無名も含め50以上のトゥール墓がある。前庭が2区画になったり、石積みの方法が進化したりと、トゥール墓の発展が見られるのも面白い」とその魅力を語った。
企画展では「世之主の墓」「チュラドゥール」「屋子母セージ古墳跡」「新城ニャート墓」など沖永良部島を中心とした奄美各地のトゥール墓をパネルで紹介。トゥール墓と洗骨文化の関連などについて、民俗学的視点での先田さんの考察も踏まえ、解説している。
企画展は来年3月末までを予定。同館の開館時間は午前9時~午後5時で、水曜日と祝祭日は休館。企画展の観覧は無料。