国営地下ダム80%進捗 沖永良部、21年度完了へ

2019年05月27日

地域

事業の完了まで残り3年を切った地下ダム工事(1工区)=5月8日、知名町余多

事業の完了まで残り3年を切った地下ダム工事(1工区)=5月8日、知名町余多

 国営沖永良部土地改良事業(通称・地下ダム事業)は2018年度までに、地下ダム止水壁2670メートルのうち1852メートルが完成した。管水路工事は延長44・1キロのうち43・3キロが完了。進捗(しんちょく)率は事業費ベースで79・7%。本年度で国営分の管水路工事は全て完了予定。知名町竿津に地下ダム施設の管理拠点となる「中央管理所」も着工する計画。

 

 同事業は地下ダムを設け、揚水機場、用水路などの基幹施設を整備。付帯事業(県事業)で末端のかんがい施設の整備と区画整理を実施し、安定的な用水の確保による農業生産性の向上や農業経営の安定に役立てる目的。

 

 受益面積は1497ヘクタール(和泊町704ヘクタール、知名町793ヘクタール)。国営の総事業費は約350億円。07年度に着手し、21年度の完了を予定している。

 

 18年度は地下水をせき止めるための止水壁工事「2―2」工区(知名町余多、延長約210メートル)、管水路は白瀬朝知野支線水路(和泊町玉城)延長約1・59キロが完了。

 本年度は止水壁が「1(和泊町古里と余多)」「2―1(余多)」「11(知名町屋者)」工区(合計延長818メートル)の工事を継続。白瀬朝知野支線水路は下流側に約840メートルの工事を予定。19年度事業費は20億8800万円。

 

 沖永良部高校近くの県道沿いに着工予定の中央管理所は、2階建て延べ床面積400平方メートル。地下ダムの水量や各用水路の流れなどを遠隔監視し、万一の災害時にも対応する。沖永良部土地改良区が施設の予定管理者となっている。

 

 九州農政局沖永良部農業水利事業所の担当者は「3年後の事業完了に向けてまい進していく。県や和泊、知名の両町、関係機関と連携しながら畑かん営農の推進にも取り組んでいきたい」と述べた。