奄美で低空飛行常態化 米オスプレイ、名護沖不時着前にも
2018年02月06日
地域
米軍の新型輸送機オスプレイの飛行訓練に関連し、2016年12月に沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着して大破した普天間飛行場(同県宜野湾市)所属のオスプレイが不時着前、奄美大島上空を低空飛行していたとみられることが5日までに分かった。米軍を監視する市民団体「リムピース」が、米軍の事故調査報告書を入手し分析した。奄美大島南部から北部にかけての上空を2周するルートで、米軍は公表していない。リムピースは「奄美大島上空に未公表の低空飛行訓練ルートが設定されている」と指摘している。
リムピースの頼和太郎編集長(69)が事故機の飛行経路を分析した。それによると、事故機は16年12月13日の午後6時17分に普天間基地を離陸し、宇検村の西海上から奄美大島上空に飛来。26分間かけ、島の上空を反時計回りに2周したもよう。報告書からは、事故機が高度500フィート(約152㍍)、速度240ノット(時速444㌔)で飛行していたことが判明したという。
事故機はその後、沖縄本島近くで米軍の空中給油機と接触事故を起こして不時着した。
オスプレイの国内での低空飛行訓練コースについて米軍は6ルートを公表。このうち、奄美関連のルートでは奄美大島と十島村の南西部を飛行する「パープルルート」の存在が明らかになっているが、リムピースの分析で示された飛行ルートとは異なる。
奄美大島では、分析で浮かび上がった飛行ルートに沿って飛行するオスプレイの目撃情報も多く、リムピースの分析は島内上空での低空飛行訓練の常態化を裏付けた形だ。オスプレイを巡っては、17年6月、計器が機体の異常を示した1機が奄美市笠利町の奄美空港に緊急着陸する事例が発生している。
奄美大島上空での低空飛行が常態化していることについて、頼編集長は「住民に一切説明なく、一方的に奄美大島が米軍基地に組み込まれたのと同じ話だ」と指摘した。
南海日日新聞の取材に、在日米軍総司令部広報室は「担当者が不在のため回答できない」とした。