奄美・沖縄最古の鉄鋤確認 貝塚時代から農具として使用か 伊仙町才上遺跡

2025年02月20日

地域

発見された鉄製の鋤か鍬と見られる農具。写真の左右は裏側と表側からそれぞれ撮影。写真上は上部から撮影されたもの。(伊仙町歴史民俗資料館提供)

【徳之島総局】伊仙町歴史民俗資料館は19日、伊仙町古里の才上遺跡で、貝塚時代後期(10世紀~11世紀初頭)の土層から奄美・沖縄地域で最古となる鉄製の鋤(すき)または鍬(くわ)先が確認されたと発表した。この時代の鉄製農具が確認されたのは、奄美・沖縄地域では初めてという。

発見された鉄製農具の大きさは、長さ10・5センチ、幅8・7センチ。U字型の内側には持ち手部分に装着するためのV字の溝が掘られ、日本本土の技術によるものだという。

また同じ土層からアワ、オオムギ、コムギといった穀物も発見され、科学的調査の結果、同年代の10世紀後半~11世紀初頭のものと確認された。

 

同館はこれらの穀物と鉄の鋤先が一緒に発見されたことから、この時代に徳之島ではすでにこれらの穀物が栽培され、畑を耕すために使われた農具ではないかと推測している。

 

発見により、本格的な農耕が始まるグスク時代(11世紀後半~15世紀)より前から徳之島では鉄製農具を用いて大地を開墾し、農耕を始めていたことが判明。鉄の鋤は沖縄諸島にあるグスク時代の遺跡ではすでに確認されていたが、貝塚時代までさかのぼる鉄製農具の確認は才上遺跡が初だという。

 

発見された才上遺跡は伊仙町上検福集落の東側に位置し、標高95メートルの石灰岩台地にある場所。鉄製農具は2020~21年度の発掘調査で収集され、詳細な調査の結果、昨年時代を特定。調査報告書が刊行される3月のタイミングに合わせ今回の発表となった。

 

発掘調査にあたった伊仙町教育委員会は「今回の発見は奄美・沖縄地域における農耕文化の形成・展開過程を解明する上で重要な事例であるとともに、伊仙町の農業の根幹となる歴史が見えてきたのではないか」としている。