戦争の記憶継承考える 国際シンポ、海外学者ら講演 伊仙町

2024年02月01日

地域

戦争の記憶継承や平和構築などを考える国際シンポジウム「国境地帯の戦中・戦後~ボスニアと済州島の経験から~」(東京大学先端科学技術研究センター創発戦略研究オープンラボ主催)が31日、伊仙町ほーらい館であった。28日から同町で行われている、日本と海外の若者による「徳之島国際ユースキャンプ」の一環として催され、サラエボ大学大学院(ボスニア・ヘルツェゴビナ)のセルマ・アリスパヒッチ氏と済州大学(韓国)名誉教授の趙誠倫(チョウ・ソンユン)氏が講演した。

 

ユースキャンプは外務省の外交・安全保障調査研究事業関連の補助金を得て開催。サラエボ大学、済州大学、東京大学、鹿児島大学から計19人の学生や教授らが参加。奄美群島の日本復帰を中心に、各国の事例と比較しながら戦争の記憶の伝え方や戦没者慰霊の在り方などについて相互理解を深める。一行は2月2日まで同島に滞在予定。

 

シンポジウムは通訳付きで、午前と午後の2部構成で実施。学生や地元住民ら約30人が来場した。

 

午前の部では、アリスパヒッチ氏が「紛争復興後の女性たちの役割」と題して講演。異なる民族が対立し、紛争に発展したボスニア・ヘルツェゴビナの複雑な歴史的背景を踏まえ、戦後の平和構築における女性の活躍に注目した。

 

アリスパヒッチ氏は、戦争の経験について女性たちが沈黙を貫く場合が多いことから「女性の声を可視化する必要がある」と指摘。女性たちによる、民族や国の枠組みを超えた反戦活動の事例などを紹介した。

 

午後の部の講演は、趙氏による「済州島の軍用飛行場と戦争の記憶」。旧日本軍が済州島に建設した「アルトゥル飛行場」について解説した。日中戦争では、中国・南京への空襲の拠点として使われたことから、趙氏は同飛行場跡地を平和教育の場として活用することの重要性を訴えた。

 

このほか、済州島における韓国軍基地建設への住民反対運動にも言及。「東アジアの緊張が高まる中、済州島も南西諸島も軍事化が進んでいる。戦争で一番被害を被るのは島民。平和への運動は自分たちのためでもある」と語った。

 

聴講した女性(79)=天城町岡前=は「小学2年生の時に奄美の日本復帰を経験し、復帰の歌を歌って行進した」と自身の経験を振り返り、「今はイスラエルなどでも戦争が起きている。今日の話を戦争解決につなげていけたら」と話した。