殉職慰霊碑を整備改修 知名町
2019年06月06日
地域
約110年前、知名町知名の沖合で密輸船の臨検中に襲われ、殉職した税務職員と警察官2人の慰霊と航海安全を祈念し、同町に1979年建立された殉職慰霊碑の整備改修工事が、先月から始まった。今年2月に島内有志が整備改修委員会(東善一郎委員長)を立ち上げ、改修工事のための募金活動を実施。4日は熊本国税局管内税務署の職員有志による寄付金が届けられた。
事件は1908(明治41)年11月9日、大島税務署の職員だった萬膳重雄税務属と、地元駐在所の佐多義種巡査が、沖縄県の泡盛を積んだ密輸船の臨検中に犯人グループに殺害されたとされる。当時の事件の概要は国税庁ホームぺージの「税務職員の殉難小史」でも閲覧できる。
慰霊碑の整備改修は建立から40年が経過し、経年劣化による基礎部分のひび割れや、台風時の高潮による碑の前の砂の流出が目立っていたため、原田酒造㈱の原田孝志社長が発起人となり、島内有志で整備改修委員会を発足した。
税務職員有志からの寄付金は、大島税務署の吉田清署長(55)が4日に知名町を訪問し、東委員長へ目録を手渡した。吉田署長は「沖永良部島に出張の際は必ず慰霊碑を訪れ、焼香している。整備改修は大変ありがたい。110年前の痛ましい事件ではあるが、地元の皆さんの心にもとどめてもらい、今後も慰霊碑を大事にしていただけたら」と話した。
東委員長(75)は「地元でしっかり維持、管理していければ」と述べた。
工事費は約300万円。完了後は式典開催も計画している。