療養地奄美に恩返しを カメさん像にさい銭箱寄贈 奈良県の上柿さん
2025年01月21日
地域

夢をかなえる「カメ」さん像の前にさい銭箱を寄贈した上柿彰さんと妻裕子さん=20日、奄美市笠利町
奄美大島最北端の奄美市笠利町用に設置されたモニュメント「夢をかなえる『カメ』さん」像の前にさい銭箱が設置された。病気療養中、毎日のようにこの場所を訪れていた奈良県天理市の上柿彰さん(74)=矢尾重量専務取締役=が回復した恩返しにと寄贈した。
カメさん像は2002年、旧笠利町商工会が建立した。「触るとご利益がある」と評判を呼び、笠利崎のシンボル的な存在として観光客や住民に親しまれている。
さい銭箱を寄贈した上柿さんは元警察官。「酒はダメだが甘いものが大好き」で、42歳で糖尿病と診断された。23年11月に突然右目の視力が低下。失明の恐れがあるとして、食事と運動療法に取り組むことになった。
わらにもすがる思いで温泉療法や漢方を試していたところ、警察官時代の同期で50年来の友人である橋田康夫さん(73)=奄美市笠利町=に奄美での療養を勧められた。
上柿さんは23年12月から島に滞在し、町内の宿泊先周辺を毎日15キロほど歩くようになった。カメさん像から蒲生神社、須野ダムへ行くのが定番コース。当時は観光客らがカメさん像の脇に直置きしていくお金が海風にあおられ、よく散らばっていたという。上柿さんはそのお金を拾い集めて元の位置に戻し、自身もお参りするのが日課になっていた。
右目は3カ月がたったころ、いつものコースをウオーキング中に見えるようになった。奄美での療養生活が功を奏し、今は健康そのものだという。
さい銭箱の設置は妻裕子さん(72)=同社長=と相談し、橋田さんが像を管理するあまみ商工会との橋渡し役となって実現。贈呈式は20日、カメさん像前であり、関係者15人が出席して除幕式と神事を行った。
上柿さんは「第2の古里である奄美の発展に貢献したい」と語り、関係者と共に、今後も像を訪れる人々の夢がかなうよう祈願した。