砂栽培で野菜作り 「障がいあっても農業できる」 奄美市「ライトハウス」
2021年01月27日
地域
奄美市名瀬朝仁町の指定福祉サービス就労継続支援B型事業所「ライトハウス」は、海の砂を使った砂栽培農業で野菜を育て、市場などに出荷している。武原純一郎代表(45)は「長時間腰をかがめるようなきつい作業はなく、高度な知識や技術も必要ない。砂栽培を通して、障がいがある人も農業ができることを知ってほしい」と話している。
砂栽培農業は高床式で、土の代わりに砂と液体肥料を使って作物を栽培する農法。▽体に負担が少ない軽作業▽野菜が土などで汚れない▽連作障害が起こりにくい│などの利点がある。武原代表によると、九州内でも取り組んでいる農家や施設は少なく、奄美では初めて。
ライトハウスは2017年7月に設立。奄美市、大和村の36人が利用登録し、1日20人前後が利用している。
砂栽培農業は、同市名瀬知名瀬の山裾にビニールハウス2棟(面積計約1000平方㍍)を建設し、20年11月に始めた。コンピューターで液体肥料を与える時間や量を管理。気温が高くなる時期は扇風機を利用して室内を適温に保ち、30~40日サイクルで年間を通した野菜の栽培、出荷を予定している。
現在はコマツナ、チンゲンサイ、レタス、サンチュ、トマトを栽培。安全面を考慮して収穫は職員が行い、利用者は野菜の袋詰めや種まき前の砂床作りなどを担当する。
取材した26日は3作目の収穫期を迎えていた。作業に従事していた男性2人は「立った状態で作業できるから腰が楽。収穫もしやすい」「砂栽培の野菜を自分でも買って食べたが、おいしかった」と笑顔で話した。
今後は地場産野菜を扱う地元スーパーでも販売する予定で、武原代表は「ぜひ皆さんに食べてみてほしい。奄美のティダ(太陽)を浴び、奄美の砂と地下水で作ったおいしい野菜を食べ、コロナに負けず健康に過ごしましょう」と呼び掛けている。