笠利で火災安全対策調査

2019年07月12日

地域

消防職員の案内で火災現場周辺を視察する研究チーム=10日、奄美市笠利町笠利

消防職員の案内で火災現場周辺を視察する研究チーム=10日、奄美市笠利町笠利

 2018年1月、民家など17棟を全焼する火災が発生した奄美市笠利町笠利で、大学教授や大学院生らでつくる共同研究チームが10日、火災安全対策に関する調査を行うための現場視察と住民説明会を実施した。

 

 調査は文部科学省の科学研究費助成事業「火災の早期対応・鎮圧を目標とする火災拡大抑制対策の構築」の一環。元日本火災学会会長の早稲田大学理工学術院教授・長谷見雄二氏が研究代表者を務め、総務省消防庁消防研究センターが協力する。

 

 調査期間は8月から来年3月ごろ。同教授研究室所属の大学院生らが笠利集落を対象に▽住民の生活状況や防火意識に関するアンケート▽消防設備の整備状況の調査▽現地の実態に即した火災対策の実証実験―などを行う。

 

 研究チームは10日、大島地区消防組合職員の案内で同集落を訪れ、昨年1月の火災現場や周辺を視察した。視察後には住民説明会を開き、調査の内容や目的を伝えて協力を求めた。

 

 本調査について、長谷見教授は「高齢化の進む過疎地、消防署からの遠隔地において有効な火災の早期発見、初期消火策を探りたい」とし、「笠利集落の防災力向上とともに、全国の島しょ地域などに通用する知見が得られるのでは」と期待を語った。