米軍機、昼夜問わず飛来 奄美大島、情報相次ぐ
2020年06月19日
地域
奄美市で、米軍機とみられる軍用機の低空飛行情報が増加傾向にある。6月は17日現在で12件。午後10時すぎの確認情報もあり、奄美大島上空を昼夜問わず米軍機が飛行している可能性がある。本土と沖縄県の米軍基地間を移動する際にも島上空を通過するとみられるが、専門家は「米海兵隊の低空飛行訓練が継続している可能がある」と指摘している。
同市総務課危機管理室によると、市街地上空や低空での飛行、それに伴う騒音に関する住民からの情報提供・苦情は、4月が5件、5月が10件。6月17日現在で累計27件となり、前年同時期(3件)を大幅に上回っている。
このうち、確認された時間帯が午後9時以降の情報が6件あった。最も遅かったのは6月3日午後10時半で、名瀬小湊の住民が4日、情報を寄せた。
苦情の内容は「昼夜問わず、住宅地などの真上をだいぶ低く飛んでいる」「ジェット音の『ゴオー』という音がうるさい」など。
目撃情報などから、奄美大島上空を通過する機体はオスプレイやC―130などの輸送機が大半とみられる。6月4日にはオスプレイが4機、同11日には3機が編隊を組むようにして名瀬市街地周辺を飛ぶ様子が確認された。
11日に名瀬長浜町の南海日日新聞社から撮影した3機のうち1機は、機体番号などから沖縄県の普天間飛行場所属のMV―22オスプレイとみられる。
2016年12月に同飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護市沖の浅瀬に不時着し大破した事故の調査報告書などから、米海兵隊の奄美大島上空での低空飛行訓練実施を突き止めた市民団体リムピースの頼(らい)和太郎編集長は「当時との飛行ルートの違いは不明だが、米軍機による奄美大島上空での低空飛行訓練が、現在も継続して行われている可能性がある」と指摘した。
米軍機の奄美大島上空の飛行をめぐっては、市民団体「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」(城村典文代表)も独自に目撃情報を収集。4、5月の2カ月間で計73件確認されたという。
城村代表は「事故率が高いとされるオスプレイなどの米軍機が、市街地上空を怖いくらいの低空で飛行している。市は市民の安全安心を守る立場として、米軍に対してより強い抗議や、市街地上空の飛行禁止を宣言すべき」と主張した。
同市では軍用機の低空飛行などに関する住民からの情報提供を求めている。情報は県危機管理課を通じて九州防衛局などの関係機関に伝達。米軍機と判明した際は同防衛局を通じて米軍側に内容を伝え「住民生活への影響を最小限にとどめるよう求めている」という。