船社に具体的説明要望相次ぐ 瀬戸内町
2019年04月02日
地域
瀬戸内町のクルーズ船寄港地に関する検討協議会(委員長・宮廻甫允鹿児島大学名誉教授)の第4回会合が30日、町役場会議室であった。前回(2月)の会合で米国大手船社と地元団体がそれぞれ行った寄港地開発に関するプレゼンテーションを踏まえて、委員らが意見交換した。経済効果への期待や環境負荷への懸念など、計画に対する賛否の声が上がったほか、「具体的な話がなく住民は不安を感じている」など、船社による再度の説明会の要望も相次いだ。
協議会は同町西古見への寄港地誘致を構想する町が設置。委員は町内各種団体の代表や学識経験者など19人。国が昨年8月に公開した「島嶼(とうしょ)部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査の結果」を踏まえて、寄港地の在り方を町長に提言する。
前回の会合では、町の公募に応じた「ロイヤル・カリビアングループ」が寄港地開発について非公開で説明。「奄美の自然を考える会」(田原敏也代表)は持続可能な観光の推進などを提案した。
会合では出席した委員全員が考えを述べた。大型クルーズ船の寄港に賛成の立場から、「人口減少に歯止めがかかる。インフラ整備によって経済効果が出る」「何も対策をしなければ集落は消滅すると危機感を持っている」などの意見が出た。
計画に反対する立場からは「手つかずの自然が壊れる」「穏やかな暮らしが失われる」「治安が悪化する」との声が上がった。
寄港地開発によるメリット、デメリットに関する調査を求める意見もあった。学識経験者から「専門家が具体的な数字をシミュレーションする機関をつくり、分析、調査を行うべき」と提言があった。
事務局の眞地浩明町企画課長は「委員全員の意見を聞いたのは初めて。それぞれの発言を尊重しながら整理して方向性を見いだしたい」と述べた。