那覇市で奄美・沖縄世界自然遺産地域連絡会議
2018年12月23日
地域
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」世界自然遺産候補地地域連絡会議の会合が21日、那覇市の沖縄産業支援センターであった。遺産候補地4地域の推薦区域の修正案が示され、再編後の全体像が明らかになった。外来種対策や観光管理の強化を図った候補地の包括的管理計画の改定案を了承。奄美・沖縄の2020年の遺産登録への再挑戦に向けて、来年2月1日までに国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書と共に提出する。
地域連絡会議は行政や地元団体など関係機関の調整や合意形成を図る目的で16年10月に設置され、地域別の部会も設けて遺産の適正な管理の在り方を検討している。会合には国、鹿児島、沖縄両県、4地域12市町村の関係者ら約50人が出席した。
奄美・沖縄は今年の世界遺産委員会で最終審査を予定していたが、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が推薦区域の見直しなどを求めて「登録延期」を勧告。政府は6月に推薦を取り下げた後、11月に20年の登録に向けた再推薦を決めた。
推薦区域の修正案は、IUCNの指摘を踏まえて、沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地の編入や小規模区域の除外などによって、4島で24区域に分断されていた候補地を5区域に集約した。総面積は17年2月に推薦した3万7946ヘクタールから約4800ヘクタール増の4万2752ヘクタール。
包括的管理計画の改定では、推薦地と、近接する緩衝地帯の外側で、北部訓練場を除くほぼ全域に設定した周辺地域を「周辺管理地域」と改め、外来種対策や希少種保護、観光利用の促進など保護、管理の取り組みを地域と協働で進める方針を示した。管理の目標に、住民や土地所有者、利用者らが参画する「地域参加型」を新たに掲げた。
来年2月の再推薦を前に、関係者らが一堂に会するのは今回が最後となる。朝山毅奄美市長は「管理計画が住民一人一人に行き届くために、地元自治体に課せられた責務は大きい。互いに責任を自覚して住民に浸透する環境づくりを」と呼び掛けた。
出席者から、延期による住民の関心の低下を懸念する指摘があったほか、国側へ遺産関連の詳細な情報提供と、自治体間の情報共有の強化を求める要望があった。