陸自配備差し止め抗告棄却 レーダー危険性認めず 福岡高裁宮崎支部
2018年12月12日
地域
【鹿児島総局】防衛省が奄美大島で計画している陸上自衛隊警備部隊の配備を巡り、奄美大島の住民が施設の建設差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、福岡高裁宮崎支部(髙橋文淸裁判長)は11日、申し立てを退けた鹿児島地裁の決定を支持し、住民側の抗告を棄却した。
鹿児島地裁は今年4月、住民側が訴えた平和的生存権や環境権を具体的権利として認めず、施設のレーダーが発する電磁波は「具体的な危険まで認められない」と判断した。住民側が決定を不服とし、即時抗告していた。
即時抗告審は電磁波の与える影響が主な争点となった。髙橋裁判長は奄美の部隊が運用する車載型移動式レーダーの特性を示し、「抗告人らが長期間にわたり、常時継続的に電磁波に暴露することになると認められない」として危険性を訴える住民側の主張を退けた。
住民代表の城村典文さん(66)=奄美市=は「住民への説明は不十分で、民意を無視した施設建設は許されない。防衛省には情報開示を粘り強く求めていく。最高裁へ特別抗告するかは弁護士に相談して決めたい」と話した。