集落の成り立ち学ぶ 根瀬部でシマあるき 地形に着目し散策 奄美博物館講座
2024年04月29日
地域
奄美市立奄美博物館の2024年度講座「歴史・文化景観を巡るシマあるき」が28日、同市名瀬の根瀬部集落であった。今年度の初回講座。島内から約20人が参加し、地理学を専門とする駒澤大学文学部の須山聡教授の案内で、海岸や河川、標高差といった地形に着目しながら散策。集落の成り立ちや特徴について理解を深めた。
奄美博物館主催のシマあるきは22年度に始まり、今回が5回目。地元住民も案内役を務め、集落を1周してカンゴ(水浴び場)、ショウジゴとイジュンゴ(取水地)、弁財天神社、グスク(中世の城郭跡)などを巡った。
須山教授は海岸沿いに列状に家屋が建ち、背後に田畑がある根瀬部集落の地形について「名瀬から大和村の東シナ海側に面した集落に見られる基本構造で、奄美大島の特徴」と説明。山手側には広範な農地があり、戦時中はソテツやサツマイモ、昭和中期の米の減反政策後はサトウキビや果樹を栽培してきたとして「自給的な生活ができていた」と推察した。
海岸から集落中央にかけて標高が約2メートル低くなっている点を挙げ「排水機能が高まり、湿気をなくすことで害虫や害獣を減らす役割を果たしている」と分析。グスク周辺に格式高い家屋が残存する現状を示し「ここが集落の中心、核心地域だった」と解説した。
シマあるき後は、根瀬部老人憩いの家(公民館)でワークショップを開き、参加者が感じた景観の印象や特徴をまとめた。
参加した同市名瀬の会社員男性(31)は「説明を受けながら集落散策したことで、昔の人たちの生活ぶりや伝統が受け継がれていることを実感できた」と話した。