飲酒量、1週間で調整を 「薬と健康の週間」講座 奄美市名瀬

2023年10月29日

地域

奄美群島の長寿の強みと健康課題について講演する鹿児島大の嶽﨑俊郎特任教授=28日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA

厚生労働省が定める「薬と健康の週間」(10月17~23日)の一環として、医薬品の正しい知識を啓発しようと、奄美薬剤師会(岡村芳和会長)は28日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で第16回週間市民講座を開いた。19年間奄美群島で研究してきた鹿児島大学病院地域医療支援センターの嶽﨑俊郎特任教授センター長が奄美の健康課題について講演した。

 

嶽﨑特任教授は2005年から奄美群島で健康調査を開始。奄美島しょ圏は全国トップレベルの長寿圏である一方、男性の中年世代で死亡率が全国の1・5倍高い点に着目。飲酒や運動不足などの生活習慣の変化が影響していると考察した。

 

長寿の要因について▽ハンダマや冬瓜(トウガン)を摂取すると死亡危険度が減少した▽黒糖を多く摂取した人は胃がんや乳がんなどで危険度が減少した│とする研究成果を発表。奄美の伝統的な食材が長寿の強みとなっていることを指摘した。

 

群島民の1日当たりのエネルギー摂取割合を食材別に調査した結果では、男女ともに黒糖焼酎やビールが上位にあることも判明。嶽﨑特任教授が自ら実践している「お酒との上手な付き合い方」として、1日純アルコール量20グラム(缶ビール500ミリリットル1本程度)を目安に1週間当たりで計算し、「飲みすぎた翌日は控えるなどして調整して」と助言した。

 

会場には子どもたちの薬剤師体験コーナーも特設。菓子を薬剤代わりにして、薬剤を集める「ピッキング」や1回分の薬を包む「一包化」、水薬の調剤や、軟こうつぼに塗り薬を詰める体験など、本格的な薬剤師の仕事に触れ合った。白衣を着けて挑戦した朝日小1年の安田優花さん(6)は「風邪の薬は嫌いだけど、これからは得意になりそう。楽しかった」と話した。