10年前の奄美豪雨振り返る 市民座談会
2020年10月13日
地域
10年前の奄美豪雨災害を振り返る「市民座談会」が11日、奄美市役所5階会議室であった。地元メディアの合同企画。「過去の教訓を生かし安心安全なまちづくりへ」をテーマに、当時災害を体験した市民ら5人が意見を交わした。豪雨災害の恐ろしさを再認識し、防災力向上のため地域で自助・共助の精神を育むことが重要との認識で一致。今後の課題も洗い出した。
2010年10月20日、元奄美市住用総合支所職員の満田英和さんは被害情報や救助を求める電話が鳴り響く中、支所1階も浸水した当時の混乱ぶりを伝えた。
災害で入所者2人が亡くなった住用町のグループホームに勤務していた橋口耕太郎さんと、同市名瀬知名瀬で、競技用の手漕ぎ舟(サバニ)を使って住民らの救助や避難にあたった屋島良幸さんが、当時の状況を生々しく語った。
橋口さんは「(当時は)知識がなく十分な行動に移せなかったのは今でも悔いがある。各個人が災害に対する知識と意識を高めること、そして行動に移すことが(防災の)一番の基本」などと訴えた。
地元ラジオ・あまみエフエムは災害当日から24時間放送を5日間続け、行政からの災害情報や、リスナーから寄せられた情報などを発信。被災者ら地域住民に寄り添った。同ラジオの麓憲吾代表は「5日間で700通のメールが局に寄せられた。リスナーの皆さんとともにつくった災害放送だった」と振り返った。
市総務課の奥伸太郎危機管理室長は市の防災対策の取り組みなどを紹介した。
座談会後、奥室長は「防災力を高めるには地域力を高め、自助・共助を育むことが最も重要との考えは、他の参加者らと一致していたように思う。安全安心なまちづくりに向け、奄美の結いの精神を地域で守り、育むことを、市も皆さんと一緒に取り組んでいきたい」と述べた。
座談会は南海日日新聞社、奄美新聞社、あまみエフエム、奄美テレビの4社の合同企画。奄美豪雨災害から10年の節目に、当時の被災状況や、被災地復旧の対応などについて関係者が振り返り、今後のまちづくりや防災対策に生かす目的で開き、司会進行は南海日日新聞社の前里純隆営業局長が務めた。
座談会の内容は18日から20日にかけて各メディアで紹介。南海日日新聞社は18日付の紙面で詳しく伝える。