ソテツ約1千本の葉、切除 カイガラムシ対策進む 奄美大島

2023年02月08日

地域

葉が切り落とされ、幹だけの状態となったソテツ=3日、龍郷町の県道沿い

奄美市名瀬や龍郷町の道路沿いなどに植樹されているソテツの葉が切除され、幹だけが残り“丸裸”の状態になっている。昨年から問題となっているカイガラムシ被害の対策として、県や両市町が管理するソテツの葉の切り落としや薬剤散布を進めているため。県大島支庁建設課によると、これまでに県管理の道路や公園に植樹されたソテツ約1千本について対策を行った。両市町はチラシなどで住民にもカイガラムシ被害を知らせ、対策を呼び掛けている。

 

カイガラムシは植物に付着して幹や枝、葉などの汁を吸って植物を弱らせる害虫。2021年夏から同市名瀬の一部地区で少数の被害が確認されていた。県森林技術総合センターが昨年11月から調査を行い、国内初確認の種と判明した。

 

学名は「アウラカスピス ヤスマツイ」。海外では通称「CAS」と呼ばれ、世界各国でソテツ類に甚大な被害を及ぼしている。

 

同課によると、県が昨年12月から今年1月にかけて葉を切除したソテツは、国道58号沿いの屋入(龍郷)、中勝(同)、本茶トンネル抗口(名瀬)、永田橋交差点(同)付近の計約130本。県道沿いは名瀬瀬戸内線の名瀬小宿から大浜海浜公園までの間の約70本。県道名瀬竜郷線の▽鳩浜から朝日(名瀬)の約20本▽芦花部(同)の約280本▽安木屋場から久場(龍郷)の約500本―。

 

また、県が管理する奄美市内の公園や緑地帯などに植樹された約40本についても葉の切除と薬剤散布を実施した。

 

奄美市、龍郷町もそれぞれが管理する道路沿いや公園、公民館、学校など公共施設の敷地に植樹されたソテツについて対策を講じている。

 

県大島支庁林務水産課によると、建設課と情報共有しながらカイガラムシ被害が確認された地区周辺など優先順位を決めて対策を進めている。担当者は「繁殖力が強く寄生場所を減らすため、被害地区周辺は健全なソテツにも対策を講じている」と説明した。

 

行政管理のソテツの対策が進む一方、民家敷地などでカイガラムシ被害を受けているソテツが放置されているケースも見られる。

 

龍郷町や奄美市はカイガラムシ被害の特徴や、対策方法を記したチラシを全戸配布し、被害の周知と対策への協力を呼び掛けている。