写真家の園耕治郎さん、1年の3分の1は沖永良部で

2019年04月20日

地域

本土と沖永良部島を行き来しながら生活する写真家の園耕治郎さん=11日、知名町やこもハウス2階の作品展示室

本土と沖永良部島を行き来しながら生活する写真家の園耕治郎さん=11日、知名町にある「やこもハウス」2階の作品展示室

 本土と沖永良部島を年に何度も行き来しながら、島暮らしを楽しむ人がいる。福岡県の会社役員で写真家の園耕治郎さん(62)がその人。2016年7月から知名町屋子母の借家を住居兼アトリエとして改修。「やこもハウス」と名付け、時には知人らを招いてうたげを開いたり、自然などの写真を撮ったりして島暮らしを満喫している。

 

 8年前に初来島。豊かな自然や、時の流れが緩やかに感じられる環境が気に入り、撮影を兼ねて年に3、4回訪れるようになった。

 

 「そのうち福岡よりも島の生活のペースの方が居心地良くなり、借家を探すことにした」

 

 借家では寝室の窓を開けて見える景色がお気に入り。眼前には亜熱帯地域特有の草木が生い茂り、窓枠にはヤモリやクモなどの生き物が訪れる。「まるで田中一村の世界みたいでしょ」とほほ笑む。

 

 現在1年の約3分の1を沖永良部島で生活する園さん。島の暮らしについて「何もないところが、一番の魅力。ここにいると人間は衣食住のために生きているんだと実感できる。生きる上で余分なことを考えなくていい。何もないが他にはない環境」と語る。

 

 17年4月から知名町公民館講座の講師を引き受け、地元の人たちに写真撮影の基礎を教えており、親しい知人も増えた。

 

 写真家として豊かな自然の景色に加え、地元の人がつい見落としがちな何げない風景も独自の視点と感性で捉え、写真を通して沖永良部の魅力を引き出す園さん。「自分の特技を生かし、この島から日本中に情報を発信できたら」とも話した。

 

 「やこもハウス」には自身の作品も数多く展示しており、鑑賞を目的とした住民らの立ち寄りも歓迎している。

  (沖永良部総局)