大島病院、経常赤字2年連続 19年度、入院患者減・総費用増

2020年05月31日

地域

経常収支の赤字が見込まれる県立大島病院=奄美市名瀬

経常収支の赤字が見込まれる県立大島病院=奄美市名瀬

  鹿児島県は29日、2019年度の県立病院事業特別会計決算見込みを発表した。県内5病院合計の経常収支は3億5600万円の黒字で、減価償却前等収支と資本的収支を合わせた資金収支は5億6500万円の黒字となった。経常収支は11年、資金収支は14年連続の黒字。大島病院の経常収支は1億8900万円の赤字で、資金収支は1100万円の黒字となった。経常収支の赤字は2年連続で、診療単価が高額な入院患者の減少と病院運営にかかる総費用の増加が影響した。

 

 県内5病院の総収益は前年度比7億6千万円増の196億7200万円。診療収益は6億8300万円増の152億2千万円で、入院収益、外来収益とも増収となった。

 

 総費用は7億3200万円増加して193億1700万円。給与や材料費(薬品、診療材料費など)などが増えた。

 

 大島病院(315床)の総収益は77億2400万円(前年度比2億9800万円増)で、総費用は79億1300万円(同3億1200万円増)。1日当たりの患者数は入院が244人で前年度から4・2%減った一方、外来は12・8%増えて484・7人となった。診療単価は入院が4万8949円(同2098円増)、外来が1万3137円(同990円増)だった。

 

 大島病院は今年度、入院病棟のうち1棟46床を休止している。県立病院課は「地域の人口減が続く中、入院患者の増加は困難」とした上で、拠点病院の役割と機能の維持に向け、コストと収益のバランスを図りながら急性期から回復期への病床シフトを含めた将来像構築の必要性を示した。

 

 県立5病院全体の方向性については、17年3月策定の「県立病院第2次中期事業計画」に基づき、医療機能の充実・強化と経営の安定化を図る。