来夏から通行規制実施へ/徳之島

2018年07月27日

地域

来年4月から試行、来年夏に本格的な通行規制が始まる林道山クビリ線=26日、徳之島町山

来年4月から試行、来年夏に本格的な通行規制が始まる林道山クビリ線=26日、徳之島町山

 徳之島利用適正化連絡会議の会合が26日、徳之島町役場であった。国、県、集落代表ら約30人が出席し、自然環境の保全や環境負荷の抑制に向け、同町の林道山クビリ線(総延

長15㌔)の利用ルールの素案を協議。来年4月から通行規制を試行して、夏ごろから本格実施するスケジュールを承認した。

 

 会議は環境省、林野庁、県、徳之島3町と自然保護団体や地元集落代表らで昨年12月に設置した。行政側が事務局となる。山クビリ線の自然環境の保全を図りながら、観光客が質の高い自然体験をできるように、利用ルールの導入に向けた対策を協議している。

 

 同林道は6月中旬に接近した台風6号の影響で土砂崩れなどが発生し、現在通行止めとなっている。林道を維持管理する徳之島町によると、年内の復旧工事と年度内の開通を見込んでいることから、来年4月から通行規制を試行する。

 

 利用ルールでは、山、花徳、支線のゲート3カ所を施錠し、町が鍵を管理して通年で通行を規制する。近隣集落民や自然保護、林道管理などを行う団体は申請不要で通行できる一方、観光利用や調査・研究などを目的とした利用は町へ申請が必要となる。

 

 観光利用では認定ガイドの同行が必要。事務局は▽案内人数は認定ガイド1人につき車両1台▽ナイトツアーは1時間以上間隔を空けて実施―などの素案を示した。ツアー時間や利用グループ数の上限、通行方向は今後、認定ガイドと協議する。利用申請の受け付けは認定ガイドが担い、インターネット上のスケジュール表を活用して関係者間で情報を共有し、利用調整を図る。

 

 通行規制の試行は2段階。まず来年4月からはゲートを施錠せず、認定ガイド同行の利用ルールを試す。6月ごろ開始予定の第2段階は、許可車両以外の通行を規制して利用申請手続きなどの改善点を探り、同年7月以降の本格実施に備える。今月末から林道入り口に看板を設置するほか、徳之島3町の広報紙、関係機関のホームページなどで通行規制開始を周知する。

 

 山クビリ線は奄美群島国立公園の特別保護地区から第3種特別地域まで混在しているため、協議では「専門家を除いて特別保護地区の境界線は分からない。自然保護の観点から林道内で全ての動植物の採取を禁止してはどうか」などの意見があった。

 同会議は12月に第2回会合を開き、利用ルール案の合意を目指す。