歌や踊りで故人送る 親族30人集まり三十三年忌祭 知名町田皆

2022年08月18日

地域

三十三年忌祭で「ふくらしゃ」を踊る女性たち=14日、知名町田皆

【沖永良部総局】沖永良部島に伝わる年忌最大行事、三十三年忌祭が14日、知名町田皆の田宮光孝さん(68)宅と墓所であった。親族約30人が集まり、歌や踊りで祖霊を天界に送った。

 

和泊町誌(民俗編)や田宮さんによると、故人の霊は三十三年忌を最後に、この世の人と関係を断ち、神の仲間入りをすると考えられている。「祭り上げ」とも呼ばれ、盆の中日に行う。この日、田宮家では1989年に亡くなった田宮さんの父・池光さんと母・グジさんを送った。

 

自宅では女性たちが「ふくらしゃ(御前風)」を踊った後、故人のやしゃごに当たる子どもたちがフラダンスを披露。飲食を共にしながら、故人の生前の思い出などを語り合った。

午後8時すぎ、自宅から墓所まで、伝統舞踊の「ヒナルガヨイサー」を歌い踊りながらみ霊をお供した後、墓所でも女性たちが「ふくらしゃ」を踊り、別れを惜しんだ。

 

故人の長女に当たり、子では唯一の参加となった白石千代さん(90)は「最近両親のことを思い出すことはなかったが、きょう写真を見たらいろいろ思い出した。父は魚釣りが上手で、釣った魚を朝食のおかずにしていた。母は若い時に小さな旅館をやっていて、農業もして働き者だった。きょうはお祝いができてうれしい」と話した。

 

故人の孫に当たる田宮さんは「祭りは当初一昨年に行う予定だった。新型コロナウイルス禍で延ばしている間に、参加したがっていた本土の親族が他界。悔やむ思いもあり、今回島内の親族、血族のみで行った。三味線や踊りは孫たちが前もって合わせ、久しぶりに和やかな雰囲気になった。本土の親族にもいい報告ができる」とほっとした様子だった。