自立的発展スローガンに 復帰65周年で「奄美人大会」

2018年11月25日

地域

復帰体験、伝承活動や奄美の将来ビジョンについて提言が寄せられた「全国奄美人大会」=24日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

復帰体験、伝承活動や奄美の将来ビジョンについて提言が寄せられた「全国奄美人大会」=24日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

  奄美群島の日本復帰65周年記念「全国奄美人大会シンポジウム」が24日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。「奄美40万同胞が復帰運動に学び、総力を結集し、奄美の自立的発展を目指そう」をスローガンに、奄美出身者や地元代表が奄美の将来像について提言。郷土に誇りを持つ世代の育成や復帰運動の伝承などへ、奄振のソフト事業を活用した郷土学習の小冊子作成などの意見を寄せた。

 

 復帰60周年の2013年に続き2度目の開催で、約70人が訪れた。「奄美群島の日本復帰を伝承する会」など民間8団体で組織する実行委員会が主催した。提言、討論に先立ち、元日本経済大学大学院教授の叶芳和氏が講演した。

 

 中部奄美会の谷山政弘会長は高齢者が運動や軽作業ができる環境整備を提言。「医療費の抑制や人口増など地域への波及効果が期待できる」とした。

 

 沖縄奄美連合会の奥田末吉会長は「島の良さを知り、奄美人としての誇りと自信を持ったシマッチュの育成が自立発展の原点」と述べ、郷土教育の重要性を提言した。

 

 人材育成では、公益財団法人奄美奨学会の大江修造代表理事が小学校でのコンピュータープログラム教科の必修化に向けた環境整備の必要性を掲げた。

 

 本土との分離期の奄美については、弁護士の大倉忠夫氏が進学や就職のため本土への密航を試みた人々の行動に触れ「軍政府の圧政に屈せず、困難を乗り越えて活路を開こうとした勇気と努力を語り継ぐべき」と訴えた。

 

 地元からは「あまみエフエム」の麓憲吾代表が「島に戻るために島を出るといった『島還り』をテーマに、未来を担う子どもたちへの意識づけを考えていこう」と提言した。

 

 会場も交えた全体討論では本土復帰との関わりが深い黒糖焼酎について「地場産サトウキビを利用するために、災害に強いサトウキビ生産体制の構築」などの意見があった。

 

 実行委員会は10月に開かれた復帰65周年記念シンポジウムでの意見も総括した「奄美の自立発展をめざす提言書」を取りまとめ、年内に県や奄美群島12市町村、民間団体に提出する。おがみ山(奄美市名瀬)への復帰記念公園整備や復帰教育行政に関する陳情書や要望書も関係機関に提出する。