「おじゃまします」を大切に 地元ガイドが集落案内 にっぽん丸、喜界島寄港

2024年05月30日

社会・経済 

阿伝集落を案内する「よんよ~り喜界島」のガイド。月桃を手に「石敢當」の由来を解説した=27日、喜界町

喜界町湾港に27日、日本船籍のクルーズ船「にっぽん丸」(2万2472トン)が寄港し、乗客330人のうち199人が島内を巡る寄港地ツアーを楽しんだ。案内役を務めたのは、地元ボランティアガイド団体「よんよ~り喜界島」(武田秀伸会長、会員12人)のガイドたち。乗客と共に集落内を「よんよ~り(ゆっくり、ゆったり)」と散策し、個性豊かな島の歴史や風土を紹介した。

 

「よんよ~り喜界島」は2009年、皆既日食を観察しようと多くの観光客が来島したことを契機に、集落を案内するボランティア組織として発足。にっぽん丸が初めて寄港した17年からは、クルーズ船客に対しても集落歩きツアーを実施している。季節ごとの集落の魅力や参加者の年齢層に合わせ、ツアー内容を調整。参加する観光客と集落に暮らす住民両者の目線に立ち、「地域の生活空間にお邪魔させていただく気持ち」を伝えながら案内することを大切にしている。

 

27日は会員7人が湾集落、阿伝集落を案内。武田会長は「島は標識も少なく、けがや道路の安全面での不安があったが、役場職員などさまざまな関係者の協力のおかげで安心して回れたと思う。多くの人がサンゴの石垣や集落内の草花に興味を持った様子だった」と安堵(あんど)の表情。「集落は生活の場でもあり、地元への配慮は必要不可欠。地域が元気になれるような観光案内の在り方を整えられるよう、努めていきたい」と語った。

 

湾集落のツアーに参加した、乗客の宮田裕子さん(68)=鹿児島市=は「サンゴの島の歴史や自然、歩きながら感じる島の風が心地よかった」と笑顔で話した。

 

同日、湾港緑地公園の公営施設では特産品も販売され、多くの客でにぎわった。