「きょうだい島」の連携に尽力 謝花・前沖縄県副知事「奄美のソフトパワーに期待」

2022年04月10日

社会・経済 

奄美への思いを語る謝花喜一郎前沖縄県副知事=3月31日、沖縄県庁

沖縄県の仲井真弘多元知事時代に企画部長を務め、翁長雄志前知事(故人)と玉城デニー知事の2県政で副知事を務めた謝花喜一郎さん(64)が3月31日、任期満了に伴い退任した。琉球への薩摩侵攻400年の節目に奄美市で行われた鹿児島県との「交流拡大宣言」、那覇―奄美間の航空・船舶運賃を低減する「沖縄奄美連携交流促進事業」の実現に尽力。世界自然遺産登録実現への情報共有や、奄美市との人材交流の継続・発展にも努めるなど、奄美とも深く関わった。

 

奄美に対しては「きょうだいのような親近感がある」と謝花さん。実際、自身の姉2人はそれぞれ奄美市、沖永良部島の出身者に嫁いでおり、奄美の人々は身近な存在だ。沖縄県に人材交流で派遣されている奄美市職員からの人望も厚い。

 

奄美市は旧名瀬市時代の1996年から2年ごとに人材を入れ替え、現在まで12人の職員を派遣してきた。派遣先の部署で市職員は「研修生」と呼ばれる。研修生らは毎年、謝花さんを囲む懇親会を開き、派遣先の上司や同僚など沖縄県職員を大勢招いて活発に交流してきた。

 

首里城の火災があった2019年には、研修生OBらで県庁に駆け付け、集めた寄付金10万円を謝花さんに手渡した。退任時には大島紬のウエアを贈呈。彼らの熱い敬慕の念を受け、謝花さんは「どういう形でお返しすればよいかと思ったが、まずは私自身が奄美に渡って、彼らといろいろ意見交換することから始めたい」と語った。

 

今年、来年と本土復帰の節目を迎える沖縄・奄美については「離島として、まだまだ解決すべき不利性はあるものの、学校、病院、港湾、道路など一定程度のハード面は整備できつつある」と評価し、「大事なのはソフト面」と強調する。

 

「沖縄でもソフトパワーという話をよくするが、奄美にもソフトパワーがある。それらを発揮するノウハウを沖縄県から吸収し、奄美に持ち帰って生かしてほしい」と話し、研修生の今後の働きと、両地域の発展に期待を寄せた。