「シバサシ」前に悪病払う きょう祭り日 龍郷町秋名・幾里地区

2023年10月01日

社会・経済 

伝統行事「シバサシ」の祭り日を前に自宅門前でヒンジャグサ、もみ殻、牛ふんを燃やし、悪病を払う住民=30日、龍郷町

旧暦8月の伝統「アラセツ(新節)」から数えて7日目の10月1日は、災いを払う「シバサシ(柴差し)」の祭り日に当たる。その前日となる30日夕、龍郷町の秋名・幾里地区では屋敷の門前で干したヒンジャグサ(オシヒバ)、もみ殻、牛ふんを燃やして悪病を払う住民の姿も見られた。

シバサシは、旧暦8月初旬の丙(ひのえ)の日にある「アラセツ」に連なる伝統行事で、アラセツ後の壬(みずのえ)の日に行われる。その後の甲子(きのえね)の日にある「ドゥンガ」と合わせ、奄美群島ではこの一連を「ミハチガツ」と呼んでいる。

今年、同地区では9月25日にアラセツ行事の「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」を行い、10月1日がシバサシの祭り日。同日は「シバ」と呼ばれる「トウズキ(トキワススキ)」を屋敷周辺などに差し、先祖に無病息災や集落の繁栄、五穀豊穣などを祈る。

30日夕、秋名アラセツ行事保存会長を務める窪田圭喜さん(82)は自宅の門前でヒンジャグサ、もみ殻、牛ふんに火をつけた。窪田さんは「祭り日はまだ知られているが、その前日に行う悪病払いはもうほとんど見ない。自分だけでも続けないと」と語った。