「ドライブインママ」店じまい 地域に親しまれ50年 大和村
2022年06月21日
社会・経済
大和村思勝で50年間、食堂や弁当販売などを続けてきた「ドライブインママ」が30日で閉店する。経営者の森澤子さん(76)の足腰が弱くなったことが理由。食事の場だけでなく、住民らの交流の場としても人気だった。長い間、親しまれてきた「憩いの場」の閉店に、地域の人や常連客からは惜しむ声が聞かれる。
森さんは思勝出身。沖永良部島に嫁いだが、長男が1歳の時に離婚。26歳で帰郷し、女手一つで子どもを育てるため、米の販売店だった実家を改築し、1972年に軽食を出す店を開業した。
当時、村内には森さんの店を含め飲食店は2軒だった。その後、食堂の他にも村の人たちが宴会できるスナックなどもしたが、14年前から弁当販売のみに絞って営業。地元の人や役場職員が多く利用したほか、大和村を通勤経路にする人々も常連となった。
常連客の応援もあって経営を続けてきた森さん。数年前に体を壊して一時休業したが、「営業再開を求めるお客さんの声に応えたい」と半年後には復帰し、午前6時半には店を開けて弁当の販売を続けていた。
同村の伊集院幼村長も村の職員として役場に勤務していたころからの常連。閉店の知らせを聞き「昼食や宴会で利用した一人として、寂しさを感じる。村民や村へ来られる人のために50年の長きにわたり営業されたことに、感謝と敬意を表します」と話した。
森さんは「子どものため、来てくれる人のために意地と根性で店を続けた。今があるのは支えてくれたみなさんのおかげ。もう少し元気になったら地元のお年寄りが集えるようなことを考えたい」と笑顔を見せた。