〝奄美旅〟の効用を検証 ANAホールディングス「旅と学びの協議会」 加計呂麻島

2024年08月09日

社会・経済 

諸鈍集落の「デイゴ並木」を地元ガイドの案内で見学する会員ら=4日、瀬戸内町加計呂麻島

ANAホールディングス(本社東京都、芝田浩二代表取締役社長)が有識者らを迎えて旅の効用を科学的に検証する「旅と学びの協議会」(会員14企業、29団体、7個人)は3~5日、瀬戸内町で「加計呂麻島サミット」を開催した。芝田社長の故郷である加計呂麻島での地域交流や自然体験などを通し、〝奄美旅〟が心と体にもたらす作用や地域の可能性などを多角的に分析した。

 

同協議会は異分野や異業種の共同事業体として2020年に設立。旅の経験と人の成長や成熟との関係性に着目し、「教育工学」、「幸福学」、「観光学」の三つの視点から新しいプログラムの開発や次世代教育への活用の提言などを目的に活動する。

 

全日本空輸(ANA)は22年10月、離島路線の安定運航を目指し、日本航空(JAL)と日本エアコミューター(JAC)など九州の地域航空3社でコードシェア(共同運航)を開始。系列を超えた新たな旅行需要の開拓などを進めており、第5期となる同協議会でも今年、全国17地域でのプロジェクト展開を予定している。

 

「加計呂麻島サミット」は、ANAホールディングスをけん引する芝田社長の〝生きる力〟を原点の地から学び、旅の効用として、人材育成プログラムの創出などにつなげる狙い。テーマは「『ありのまま』を感じる非日常、地球と繋(つな)がる」。来島した会員15人は、シマ(集落)見学や地域住民との交流、海でのメディテーション体験などを通し、島ならではの旅の効用を検証した。

 

リクルートスタディサプリ教育AI研究所所長で同協議会の小宮山利恵子代表理事(46)は「専門はテクノロジーだが、人間にしかできないことに興味があり、五感をバランスよく使えるのは人間だけ。まさに五感から得るのが旅。奄美は豊かな自然や文化にあふれ、五感を研ぎ澄ませる絶好の場所であり、次は長期滞在で島への知見を深めたい」と話した。

 

初日のプログラムに参加した芝田社長(66)は「多様な〝目〟がそろうことが重要。学術的、社会的な見地から、魅力という言葉だけにとどまらない、『ありのままの加計呂麻島』を世界に発信してもらえることを願う」とサミットの成果に期待を込めた。