〝海の宝石〟で地域課題解決へ 土産菓子「シーグラスキャンディ」発売 企業家・鈴木さん 地元で作る、地元のための、地元の商品――。
2022年09月18日
社会・経済
奄美大島を拠点に活動する大阪府出身の起業家、鈴木雄登さん(26)が手掛けるEnTo(エント)=大和村戸円=は8月末、地域課題の解決を目的とした土産菓子「シーグラスキャンディ」の販売を開始した。奄美市の「つなぐ未来へ 奄美観光×環境保全」事業の助成金を活用しており、商品を通して海洋汚染対策の活動に取り組むほか、障がい者の雇用創出、地域経済の活性化にも力を注ぐ。
「シーグラスキャンディ」は、持続可能な社会を目指し、新潟県の佐渡島で発案された土産品。鈴木さんが同島を訪れた際に商品と出合い、地域還元型の事業構造やコンセプトに共感したことからフランチャイズ契約を結び、奄美大島での販売へとこぎ着けた。
同商品は〝海の宝石〟とも呼ばれるガラス片「シーグラス」を模したキャンディーで、奄美の塩が使用されている。視覚、味覚ともに「海」を感じられるのが特徴。大和村の障がい者自立支援グループ「やまとすももの会」が製造し、大和まほろば館で販売している。
現在、「つなぐ未来へ」事業の一環として、奄美大島の新たな環境保全の担い手となる旅行者に海岸清掃へ参加してもらい、返礼品に「シーグラスキャンディ」を贈るプロジェクトを展開。10日、観光スポット「ハートロック」のある龍郷町赤尾木の海岸で行われた清掃活動には、1時間ほどの作業時間に約20組の旅行者が観光の合間を縫って参加する姿があった。
奄美出身で大学の友人を連れて帰省したという伊藤未来さん(19)=鹿児島市=は「島外出身者が島のために活動されているのがありがたく、輪がもっと広がることを望みます」と話し、友人の荒木小晴さん(20)=同=は「自分の小さな行動が保全につながるのは良いこと。キャンディーは本物のシーグラスと見間違うほどで、とてもかわいい」と語った。
鈴木さんは、同プロジェクトは海洋汚染問題への〝意識改革〟が目的だとし、「自分一人でできることは限られるが、多くの人が関心を寄せることで、壮大な課題にも立ち向かえる」と言う。また、事業の将来ビジョンに関し「地方課題や社会問題を解決することで、その地域が潤う仕組みを構築させ、ビジネスとして持続的に成り立たせることが目標」と前を向く。