アイランドホッピングルート

2018年01月22日

社会・経済 

今年7月1日から開設の新路線に使用される最新鋭のATR42―600型機(48席)=2017年4月、沖永良部空港

今年7月1日から開設の新路線に使用される最新鋭のATR42―600型機(48席)=2017年4月、沖永良部空港

 【沖永良部総局】日本エアコミューター(JAC)は7月1日から徳之島―沖永良部島と沖永良部島―沖縄(那覇)の2路線を新たに開設し、既存の奄美大島―徳之島線と合わせた「奄美群島アイランドホッピングルート」が誕生する。新路線の発表を受け、徳之島、沖永良部島の行政、観光業関係者らからは、沖縄経由の交流人口拡大への期待や、観光客増を見据えた受け入れ体制整備の課題など、さまざまな意見が上がった。

 

 沖縄と直行便でつながる沖永良部島。おきのえらぶ島観光協会の前登志朗会長(59)は「待ちに待った路線の誕生。これを機に沖縄との関係をさらに深めていき、沖縄経由での観光客を呼び込むとともにアイランドプラス(同島の観光計画)に沿った受け入れ体制の整備を加速させたい。今年が勝負の年になる」と声を弾ませた。

 

 島内の宿泊業者らも観光振興に期待を寄せる。観光ホテル東(和泊町)の町田実彰支配人(40)は「今月から始まったNHK大河ドラマ『西郷どん』も夏頃に奄美が舞台となるシーンが放送されるのでは。ちょうどいいタイミングでの新路線開設」と喜びつつ、「これを一過性のものとしないよう沖縄などに向けた情報発信にも力を入れる必要があると思う」と話した。

 

 今年夏の世界自然遺産登録を目指す徳之島。徳之島空港利用促進協議会長の大久幸助天城町長は「国内外の観光客が多い沖縄と空路で結ばれることは意義深い。奄美トレイルのコース選定など島を観光してもらう工夫のほか、特産品開発などに取り組み、地元にお金が落ちる仕組みを作って地域活性化につなげたい」と歓迎する。

 

 一方で「世界自然遺産登録後は外国人観光客の増加が見込まれる。通訳ガイド育成や案内板設置などの課題を早急に解決しなければ」とインバウンド対策の重要性も強調した。

 

 徳之島地区自然保護協議会の松村博光会長(71)は、路線開設による経済波及効果に理解を示しながらも「人の出入りが多くなると、自然保護は難しくなってくる」と指摘。「自然環境の保全や環境負荷の抑制などに向けて、林道の通行規制などのルールづくりといった受け入れ体制の整備が必要」と述べた。

 

 JACによると、下り便は奄美大島を午前9時5分に出発し、徳之島(同9時35分着)、沖永良部島(同10時35分着)を経由し同11時50分に沖縄に到着。上り便は午後0時35分に沖縄を発ち、各島を経由し同3時45分に奄美大島着。

 

 新路線の運賃は開設記念割引があり、徳之島―沖永良部が最安5400円、沖永良部―沖縄が同1万800円。